観光関係団体懇談会(26団体で構成、幹事・日本観光協会)主催の新年賀詞交換会が8日、東京のグランドプリンスホテル赤坂で開かれた。不況による先行き不安感から消費意欲は弱まっており、観光業界にとっても厳しい1年となりそうだが、出席者からは「嘆いていても始まらない。ピンチこそチャンス」と前向きな発言も出ていた。会場には加納時男国土交通副大臣、七条明自民党観光特別委員長らも姿を見せ、観光業界が経済のけん引役を果たすことに期待した。
賀詞交換会には国会議員、観光庁幹部、団体、旅行会社のトップら約200人が出席。主催者を代表してあいさつした中村徹日観協会長は、厳しい経済状況を踏まえ「我慢の時代だが、過去にとらわれることなく新しいことにチャレンジしてほしい」と呼びかけた。
来賓の加納副大臣は、「観光も消費も気分で決まる。経営者は明るい信念をもって(経営に)臨んでほしい」とプラス志向を強調する一方、「定額給付金を使って観光に行こう、といったキャンペーンも行われるのではないか」と期待した。
また、七条委員長は中国人富裕層誘致へ向け、ICカードを利用した出入国手続きの構想を明らかにし、現在、観光庁や法務省、外務省などと調整していると述べた。
このほか、愛知和男衆院議員、藤野真紀子衆院議員、金子善次郎衆院議員ら多くの国会議員が駆けつけた。
昨年10月の観光庁発足に水を差すような経済情勢で、消費者の旅行手控えも懸念されているが、出席者の間からは「今は我慢の時」「知恵と工夫で、業界挙げて旅行需要の喚起に努めるべきだ」という前向きな声が出ていた。
不況に負けじと威勢よく乾杯する観光関係者