観光白書、訪日増加「日本経済にインパクト」 他業種、景況感に波及

  • 2018年6月12日

 2018年版「観光白書」は、近年の訪日外国人旅行者の増加がもたらす、旅行消費額にとどまらない、日本経済への影響を検証した。宿泊業の建築投資の増加のほか、各業種の売上高に占める訪日外国人のシェア上昇、訪日観光をきっかけとした越境EC(電子商取引)の創出などを挙げ、「観光が日本経済に与えるインパクトは確実に高まっている」と指摘した。

 各業種の売上高に占める訪日外国人のシェアを試算。13年から17年への変化では、飲食産業で1.3%から3.5%に、鉄道業では1.1%から3.1%に、医薬品・化粧品小売業では1.0%から6.5%に拡大した。

 訪日外国人のシェア上昇に伴いインバウンド対応の投資が増加。観光白書は、12年1月から18年4月までの情報から、宿泊業以外の業種による国内での設備投資、工場建設などの代表的な投資案件53件を紹介している。

 また、観光白書は、訪日観光をきっかけとした越境ECによる日本製品の購買規模(17年)を訪日客数の上位5カ国・地域(中国、韓国、台湾、香港、米国)の合計で約6300億円と推計した。観光庁が上位5カ国・地域を対象に実施したアンケート調査で、越境ECでの日本製品の購買は「自身の訪日観光がきっかけとなった」と回答した割合が3~4割に達した結果を基に試算した。

 訪日外国人増加の影響がさまざまな業種の売上高、投資に波及するようになった結果、観光白書は、インバウンドが「景況感の変動に与える影響が高まっている」と指摘した。毎月約2千人に景気の現状や先行きを聞く内閣府の「景気ウォッチャー調査」に寄せられたコメントを分析。景気の改善や悪化の判断理由にインバウンドを挙げる人は14年後半から急速に増加。訪日外国人の買い物消費が拡大した15年には、景気回復の理由としてインバウンドを挙げた人の割合が7%程度に達する月もあった。

 観光白書は、訪日外国人、さらに日本人の旅行消費額を含めて、観光が日本経済に与える影響を分析した。国際的な基準で算出する日本の「観光GDP」は、12年には約8兆5千億円だったが、16年には約10兆5千億円に拡大。12年から16年までに日本の名目GDPが約43兆円増加する中で、観光GDPは約2兆円の増加となっており、「近年の経済成長に重要な役割を果たしている」と指摘した。

 観光庁観光戦略課観光統計調査室の赤井久宣室長は「観光は近年のインバウンドの増加で、訪日旅行消費額にとどまらず、投資、輸出、景況感の形成などに幅広く影響するようになった。日本経済における存在感が急速に高まっている。GDPの成長率にも観光が貢献するなど、観光は日本経済の主要な成長エンジンに変化しつつある」と解説した。

 一方で観光庁は、日本のインバウンド消費の対名目GDP比は、欧米豪やアジアの一部の国々を下回っており、20年の訪日外国人旅行者数4千万人、消費額8兆円などの目標達成に向けてさらに高次元の観光施策が必要と強調した。

関連する記事

観光庁、スポーツ庁、文化庁が連携し、スポーツや文化、芸術の融合によって観光を活性化させた事例を表彰する「スポーツ文化ツーリズムアワード2018」の受賞団体・取り組み5件が…

続きを読む

観光庁は12月21日、日本版DMOの登録制度で、第4弾の本登録として16法人を追加登録した。追加登録の法人は次の通り(カッコ内は対象区域)。 【地域連携DMO】NPO産…

続きを読む

北海道倶知安町は昨年12月の町議会で宿泊税条例案を可決した。町内の宿泊施設の宿泊客から宿泊料金の2%を徴収し、増加する観光客の受け入れ環境の整備など観光振興の財源に充てる…

続きを読む

新聞ご購読のお申込み メルマガ申し込み

注目のコンテンツ

第32回「にっぽんの温泉100選」発表!(2018年12月15日号発表)

  • 1位草津、2位別府八湯、3位下呂

2018年度「5つ星の宿」発表!(2018年12月15日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」は?

第32回「にっぽんの温泉100選・選んだ理由別ベスト100」(2019年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「泉質」「見所・体験の充実」「郷土の食文化」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

18年度「部門別・旅館ホテル100選」(2019年1月12日号発表)

  • 「料理」「サービス」「風呂」「施設」「雰囲気」のベスト100軒

観光経済新聞の人材紹介

  • 旅館・ホテルの人材不足のお悩み無料相談はこちら
Visit Us On FacebookVisit Us On TwitterVisit Us On InstagramVisit Us On Youtube