観光庁の溝畑宏長官は15日の定例記者会見で今年下半期の抱負を述べ、落ち込んでいるインバウンドの回復に向けて、日本の安心、安全のイメージをさらに定着させる必要があると強調した。
溝畑長官は今年上半期を総括し、訪日外客数が前年同期比32.6%減になったことについて、「津波や原発事故で、ほとんどの国で(日本への)渡航自粛が出されたことが厳しい結果につながった。安心、安全のイメージが大きく損なわれたことで、我々が想像しなかった大きな打撃を受けた」と指摘。
ただ、単月では4月の62.5%減から6月の36.0%減へと徐々にマイナス幅が縮小しており、「観光庁や他の省庁による正確な情報発信、積極的な営業などで、回復とはまだ言えないが、少しずつ明るい兆しが見え始めている」とした。
7月からの下半期については「一刻も早く震災前の姿に戻し、さらに目標である2500万人、3千万人に向かわねばならない。今まで以上に積極的な手を打たなければならない」とした。具体的には、長官らによるトップセールスや海外メディアなどの招へい、著名人らによる訪日旅行を呼びかけるメッセージの発信を今後も続けていく。
インバウンドの減少で厳しい経営環境にある宿泊施設、旅行会社については「観光立国推進を現場で支える皆さんに、前向きに、将来に展望を持って働いてもらうことが大前提。そのために我々がするべきことは、安心、安全のイメージ回復や(外客受け入れの)環境整備。資金繰りについては、中小企業庁と連携して緊急融資制度を設けているので活用してほしい」とした。
福島第一原発事故の補償問題については「福島以外の県も対象になるよう要望している。少しでも多くの観光業にかかわる方々が救済されるようバックアップしたい」と述べた。