観光庁の来年度概算要求、8%増の112億円


 観光庁の2013年度予算の概算要求額が7日に発表された。要求額は2012年度当初予算比1%増の101億400万円。東日本大震災からの復興に向けて復興庁に計上される観光関係予算を含めると、要求額の総額は同8%増の111億7700万円となった。訪日外国人の誘致では、ビジット・ジャパン事業に加え、東南アジアからの訪日客を現状の50万人から倍増させる「100万人プラン」事業に予算を充てる。観光地域づくりでは、地域のブランド化につながる戦略策定や環境整備に補助金を交付する。

 経済成長と財政の健全化を目指す政府の要求基準を踏まえ、復興関係を含めた観光庁の要求額は、12年度予算に対する要求額(109億9100万円)とほぼ同規模。7月に閣議決定された「日本再生戦略」で観光分野は11の成長分野の1つとなり、「重点要求」の特例が認められたため、東南アジア・訪日100万人プランの予算確保に重点要求枠を活用した。

 訪日外国人誘致に関する予算は、同6%増の88億2200万円。内訳はビジット・ジャパン事業が58億4300万円、東南アジア・訪日100万人プランが5億9900万円、訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備事業が5億2千万円など。

 ビジット・ジャパン事業では、5大市場に位置づける韓国、中国、台湾、米国、香港の消費者に対する広告宣伝、5大市場を含む重点市場を対象とした現地旅行会社の招請事業などを中核事業として実施。原発事故の風評の払しょくやニューツーリズムの普及につなげるPR事業、MICE(国際会議など)の開催・誘致の推進事業なども実施する。

 東南アジア・訪日100万人プランの対象市場は、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン。有力市場に育成すると同時に、訪日客の約7割を占める東アジアへの過度の依存を緩和し、市場の多様化により各種情勢変化による旅行者減少のリスクを分散させる。

 東南アジア諸国からの訪日客数は、経済成長などに伴って増加傾向にあり、中間・富裕層の誘客が期待できる。政府が6月からタイ、9月からインドネシア、マレーシアを対象に短期滞在数次査証(ビザ)の発給を開始したことなども踏まえ、広告宣伝やポータルサイトの開設など消費者向けの訪日プロモーションを本格化させる。

 観光地域づくりに向けた観光地域ブランド確立支援事業の予算は2億4500万円。観光圏整備法に基づく観光圏のプラットフォームなどを対象に、国際競争力の高いブランドを地域に確立するための事業を後押しする。ブランド戦略の策定には上限500万円の補助金の交付、戦略に基づく環境整備事業には事業費の約5割を補助する。また、観光圏にとどまらず、ブランドが確立された“日本の顔となる観光地域を登録する制度の創設も検討していく。

 観光産業の活性化では、地域の大学や他産業の協力を得て宿泊業再生のモデルづくりに取り組む地域宿泊産業再生支援事業に5千万円、高齢者や障害者などに適した旅行商品の認定制度の導入などを検討するユニバーサルツーリズム促進事業に4千万円を計上した。

 震災復興枠は、東北地域観光復興対策事業の3億円、福島県に対する観光関連復興支援事業の7億2100万円など。東北の観光復興対策事業では、震災の被害が大きかった太平洋岸エリアへの旅行需要を回復するため、地域が取り組むプロモーションやイベント、ガイド育成などを支援する。福島県に対する観光関連復興支援事業では、地域づくりなどの中長期的な観光復興事業に対して事業費の8割を補助する。

 
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