観光庁、DMO検討会で「ヒト・モノ・カネに関する資源の確保や配分」テーマにヒアリング

  • 2019年2月10日

 観光庁の「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」(座長・矢ケ崎紀子東洋大学国際観光学部国際観光学科教授)の第4回会合がこのほど開かれ、「ヒト・モノ・カネに関する資源の確保や配分」をテーマにヒアリングが行われた。日本版DMOの3法人が現状や課題を説明した。

 ■せとうち観光推進機構

 瀬戸内海エリアの兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛の7県を対象区域とした広域連携DMO。観光活性化ファンドによる事業支援などを行う株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション、会員制で企業を支援する株式会社せとうちDMOメンバーズと連携している。

 人材は県、企業からの出向者などが中心。必要なスキルを持った人材を自前で確保することは難しいとして、観光庁の専門家派遣事業なども活用しているが、今後は財源の問題を解決しながら、中核人材だけでもプロパー化する必要性があると指摘した。

 財源では、18年度事業費が約3億9千万円。各県、社員企業の負担金、国の補助金などで事業費をまかなっているが、せとうち観光推進機構の村橋克則事業本部長は「不足と不安定さは否めない。近い将来の自立的な運営に向けてTID制度(※)の研究を進めており、法整備をお願いしたい。それまでの時限的措置としてDMOに対する新たな交付金などの制度を創設してほしい」と訴えた。

※TID(観光産業改善地区、Tourism Improvement District)制度=米国の地域などで採用されている区域内の宿泊客の宿泊料金に一定料率・料金を課すDMOの資金調達の仕組み。州法などに基づく制度で、州議会などを通さずにDMOの財源に充てることができる。

 ■阿寒観光協会まちづくり推進機構(阿寒DMO)

 北海道釧路市の阿寒湖温泉地域を対象区域とする地域DMO。観光地域づくりのマネジメント、マーケティングを担うNPO法人で、中核事業を担う株式会社阿寒アドベンチャーツーリズムと両輪で事業を推進している。自然を活用したアドベンチャーツーリズムやアイヌ文化を生かした観光に取り組む。

 財源に関しては、17年度の収入は補助金や会費を中心に約2億5千万円。旅行事業収入などはあるが、収益性の追求に限界もあるという。一方で釧路市が15年度に開始した入湯税の税率引き上げによる増収分を原資とする「観光振興臨時基金」を受け入れ環境整備などの観光振興事業に活用している。

 人材確保に関しては、阿寒DMOの山下晋一専務理事が「観光地経営の企画、調整など業務が高度化する中で人件費の負担が課題」と述べた。交付金や補助金、企業の協力で人材を強化しているが、国などの支援制度として、アドバイザーというより施策を実行する人材の育成・確保への支援が必要と指摘した。

 ■下呂温泉観光協会

 岐阜県下呂市を対象区域とする地域DMO。下呂市はエコツーリズム推進法に基づくエコツーリズム全体構想の認定も受けており、地域の資源の保全、活用を両立させながら観光誘客による地域活性化を進めている。

 下呂温泉観光協会のほか、下呂市、下呂温泉旅館協同組合、下呂市コンベンションビューロー、下呂市商工会連絡協議会などが下呂市観光客特別誘致対策協議会を組織して連携。事業の重複を回避し、PDCAサイクルを回しながら計画的に事業を推進している。

 活動運営費の財源は会費や市の負担金、事業収入など。市からの負担金の一部には入湯税の財源が充当されている。入湯税財源は年間約1億5千万円で観光振興の積立金のほか、各団体に分配され、観光振興費に充てられている。

 マーケティングに関しては、約50年前から宿泊施設から収集している宿泊者数などのデータが重要な資源。下呂温泉観光協会の瀧康洋会長は「調査結果を受けて、どのような対策を打ったかを説明しているので、事業者は積極的に資料を出してくれる。プロモーションの成果をチェックでき、ニーズの変化にも早期に対応できる」と話した。

関連する記事

観光庁の宿泊旅行統計調査によると、19年6月の宿泊施設の延べ宿泊者数は、第1次速報値としての集計で、前年同月比1.1%増の4185万人泊だった。 延べ宿泊者数のうち日本…

続きを読む

観光庁の宿泊旅行統計調査によると、19年5月の宿泊施設の客室稼働率(第2次速報値)は、前年同月比2.2ポイント増の62.8%となった。37都道府県が前年同月の数値を上回っ…

続きを読む

観光危機管理推進事業   沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合は、組合員旅館・ホテルを対象に危機管理に関する勉強会を開いた。同県観光の持続的発展を図るため、災害や事…

続きを読む

新聞ご購読のお申込み  ベストセレクション

 メルマガ申し込み

注目のコンテンツ

第32回「にっぽんの温泉100選」発表!(2018年12月15日号発表)

  • 1位草津、2位別府八湯、3位下呂

2018年度「5つ星の宿」発表!(2018年12月15日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」は?

第32回「にっぽんの温泉100選・選んだ理由別ベスト100」(2019年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「泉質」「見所・体験の充実」「郷土の食文化」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

18年度「部門別・旅館ホテル100選」(2019年1月12日号発表)

  • 「料理」「サービス」「風呂」「施設」「雰囲気」のベスト100軒

観光経済新聞の人材紹介

  • 旅館・ホテルの人材不足のお悩み無料相談はこちら
Visit Us On FacebookVisit Us On TwitterVisit Us On InstagramVisit Us On Youtube