観光庁が8月28日に発表した2015年度予算の概算要求額は、今年度当初予算比84%増の180億700万円になった。このうちインバウンド関係施策に約162億円を計上。要求額の総額は、復興庁予算に計上する復興枠の観光予算を含めると、同79%増の185億5500万円になる。成長戦略に掲げた政策課題に取り組む「新しい日本のための優先課題推進枠」を活用し、大幅な増額を要求した。
国土交通省全体の概算要求額はほぼ要望の上限にあたる今年度当初予算比16%増。観光庁の概算要求額の伸び率は、これを大幅に上回る水準になっている。
観光庁の予算要求の内訳は、「訪日2千万人時代に向けたインバウンド政策の推進」が同91%増の162億1300万円、「観光地域づくり支援」が同84%増の9億5800万円、「観光産業振興」が同9%増の6600万円、「観光統計の整備」が同7%増の4億6千万円など。
「訪日2千万人時代に向けたインバウンド政策の推進」の詳細は、訪日旅行促進(ビジット・ジャパン)事業が19億4700万円、国際会議等(MICE)の誘致・開催の促進が2億2千万円、日本政府観光局(JNTO)運営費交付金が125億2500万円、広域観光周遊ルート形成促進事業が14億円など。
JNTO運営費交付金が約6倍の増額となっているのは、今年度予算には管理費などが計上されているだけだが、要求額にはビジット・ジャパン、MICE促進の事業費を含めた予算が計上さているため。JNTOは現在は事業実施の監督という役割を任っているが、独立行政法人改革の推進により、来年度からは直接事業を実施できるようになる。この変更に伴い観光庁で実施する事業分を除いた予算が計上されている。
ビジット・ジャパン事業で実施する主な施策は、(1)査証(ビザ)の要件緩和を契機とした集中的なプロモーション(2)免税店拡大と連動したショッピングの魅力の発信(3)航空路線やクルーズ船の就航と連動したプロモーション—などのほか、中国に対する三大都市圏(北京、上海、広東)に加えた沿岸部・内陸部へのプロモーション、オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた訪日プロモーションなど。
概算要求に掲げた主な事業は、訪日外国人観光客をゴールデンルート以外の地域に呼び込むために広域の周遊ルートをつくり、海外に情報発信していく「広域観光周遊ルート形成促進事業」、観光圏の地域づくりを推進する「観光地域ブランド確立支援事業」(要求額3億円)、旅館経営者の育成に向けたモデルカリキュラムづくりや旅館の魅力を海外に伝える動画を作成する「旅館の経営改善・情報発信促進事業」(3千万円)など。