観光庁、旅行業法改正に向け検討会設置


「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の初会合

観光庁は、旅行業者の委託を受けて交通、宿泊などの手配を行うランドオペレーターの規制と、着地型旅行商品を企画、提供しやすくする環境整備の2点を主要課題として、旅行業法の改正を目指している。法改正のあり方を議論する有識者会議「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」を設置。検討会が11月下旬にまとめる中間報告を踏まえて、2017年の通常国会に改正法案を提出する方針だ。

6日、東京都内で開かれた検討会の初会合で観光庁の田村明比古長官は、訪日外国人の増加、地方での旅行消費の拡大を目指す政策などに触れた上で、「旅行業を取り巻く環境は大きく急速に変化している。今の旅行業法では現状に合わないものも出てきている。ランドオペレーター、着地型旅行を喫緊の課題として議論してもらいたい」と委員に呼びかけた。

論点の一つ、ランドオペレーターは、事業者間の取引を行うだけならば、行政への登録などの必要はなく、現行制度では旅行業法の対象外。しかし、旅行の品質や安全性の低下が懸念されるような行為に一部のランドオペレーターが関わっているとして、行政が指導、監督できる制度の導入が求められている。

問題視される行為とは、訪日外国人旅行では、販売店などからのキックバックを前提にした団体客の買い物への連れ回し、旅行者への高額商品の購入勧誘など。日本人の国内旅行では、貸し切りバスの下限割れ運賃の設定といったダンピング契約への関与など。

ランドオペレーターをめぐって政府は規制改革実施計画(6月)の中で、通訳案内士制度の見直しに伴う訪日旅行商品の品質維持に関連して、業務の適正化を図る制度を導入すると決定。また、16年1月に起きた軽井沢スキーバス事故の対策を検討した国土交通省の検討委員会も、貸し切りバスの総合対策の提言(6月)の中で、規制を検討するように求めていた。

もう一つの論点、着地型旅行については、国内外の旅行者の地方での滞在日数の増加、消費の拡大に向けて、地域に密着した多様な事業者がオプショナルツアーなどの旅行商品を造成、販売することが期待されているが、市場の定着、拡大には至っていない。過去にも省令改正などの規制緩和を実施してきたが、地域の事業者の参入、活用は限定的で、制度的な課題も指摘されている。

課題の一例は、旅行業の登録には旅行業者の規模に関わらず、営業所ごとに1人以上の「旅行業務取扱管理者」を選任する必要があること。旅行業務取扱管理者は、国内・海外旅行を取り扱う「総合」、国内旅行だけを取り扱う「国内」のいずれかの資格試験に合格しなければならない。

旅行業務取扱管理者について、政府の規制改革実施計画は、「着地型旅行のみを取り扱う営業所に選任すべき旅行業務取扱管理者の資格試験について、現行の試験より簡易な試験を新設すること」を含めた検討を行うように求めている。

このほか規制改革実施計画では、第3種旅行業者が実施できる募集型企画旅行の催行範囲の見直し、地域限定旅行業などの登録の容易化を検討課題に挙げる。営業保証金などが低額な設定となっている地域限定旅行業や、旅行業と契約を結び商品を販売する旅行業者代理業では、旅館・ホテルなど地域の事業者の参入拡大が期待される。

検討会の初会合は、観光庁からの現状説明が中心だった。今後、検討会の下に設ける作業部会(ワーキンググループ)で、観光関係団体、地方自治体などのヒアリングを実施し検討を深める。検討会では11月下旬の中間報告以降も、法改正を伴わない課題などについて引き続き議論する。

「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の委員は次の通り(敬称略)。

委員長=山内弘隆(一橋大学大学院商学研究科教授)▽委員=香取幸一(玉川大学観光学部観光学科教授)、久保成人(日本観光振興協会理事長)、小林天心(北海道大学観光学高等研究センター客員教授)、竹内健蔵(東京女子大学現代教養学部教授)、谷口和寛(御堂筋法律事務所弁護士)、三浦雅生(五木田・三浦法律事務所弁護士)▽オブザーバー=河内達哉(消費者庁消費者政策課課長)

「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の初会合

 
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