観光庁、地域づくりで観光カリスマと懇談


観光カリスマ11人と観光庁幹部が懇談

観光カリスマ11人と観光庁幹部が懇談

 観光振興の先駆者として国土交通省が選定した「観光カリスマ」の意見を観光庁幹部が聞く懇談会が4日に開かれた。観光を通じた地方創生、地域活性化が国の重要課題となる中、全国各地の観光カリスマ11人が出席し、地域の課題や展望について考えを述べた。

 観光カリスマは、地域の観光振興に大きな役割を果たした人たちの知識や経験を全国に広めることを目的に、2002年度から04年度にかけて100人が選定された。

 久保成人長官は「観光カリスマの皆さんにとっては今さら言うまでもないが、地方創生の中で観光による地域活性化が重要になっている。インバウンドに関しても多くの地域を旅行してもらいたい。そのためには地域の魅力を高める必要がある」と述べ、出席者に意見を求めた。

 北海道・ニセコ地域に通年型のアウトドア観光を確立したNAC(ニセコ・アドベンチャー・センター)のロス・フィンドレー氏は、観光がもたらす経済効果について、「長期滞在の旅行者は、スーパーから美容院まで地域の店を利用するので、地元経済への波及効果が大きい」と紹介。一方で航空アクセスの不便さや海外からの投資拡大に伴う問題点を説明した。

 北海道・阿寒湖温泉のまちづくりを進める阿寒グランドホテル社長の大西雅之氏は、「まちづくりの共通の悩みは財源。10年がかりの課題も多く、税源が見えてくると、まちづくりが変わってくる」として、国の事業の補助率アップや複数年にわたる継続的な支援を要望した。

 また大西氏は、海外に対する宿泊施設の情報提供のあり方に関して、「外国人旅行者の誘客のために宿泊施設にグレード区分が欲しい」と述べ、現状では施設やサービスに関する情報が少なく、外国人は宿泊施設を選びようがないと指摘した。

 群馬県・草津温泉の活性化に取り組んできたナカザワビレッジ会長の中澤敬氏は、「温泉情緒を五感で満喫してもらえるように、湯畑の再開発を進めている」と地域の魅力づくりについて紹介。インバウンドに関しては「草津温泉は国内の評価ほどには海外の認知度が高くない」と述べ、外国語対応や日本人客との関係など受け入れの課題について説明した。

 兵庫県・有馬温泉のブランド化を推進する旅館、陶泉御所坊主人の金井啓修氏は、台湾でヒットした映画「KANO」に出演した台湾の俳優を招いて、有馬温泉の観光を紹介してもらうPR動画を作成するなど、台湾を対象としたプロモーションを強化したことを報告した。

 地域資源を掘り起こし、体験交流型プログラムにして提供するオンパク(温泉泊覧会)の取り組みで大型温泉地を再生させた大分県・別府温泉の鶴田ホテル社長の鶴田浩一郎氏は、「オンパクを始めて14年。その手法は今では全国各地に広まっているが、その間に大きく環境は変わっている。着地型観光は、次の商品づくり、次の組織づくりを考えるべき時期に来ている」と語った。

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