観光庁、ツアー登山事故で中間報告、指導・監督手法に課題が


 観光庁は11月30日、中国・万里の長城付近で実施されたツアー登山で発生した遭難死亡事故を受け、ツアー登山を催行した旅行業、アミューズトラベル(東京都千代田区)に対する国の指導、監督の問題点などを検証し、中間報告をまとめた。同社が以前にもツアー登山で遭難死亡事故を起こしていることから、事故の再発を防止できなかった要因などを調査。立ち入り検査のあり方などに課題があるとして、検査の強化をはじめとした指導・監督手法について改善に向けた方向性を示した。

 11月3日、同社が実施した万里の長城付近でのツアー登山では、大雪のために参加者が遭難し、日本人客3人が死亡した。同社は2009年7月に北海道のトムラウシ山で実施したツアー登山でも遭難死亡事故を起こしていた。

 事故の再発を重くみた観光庁では、トムラウシ山での事故後の国の対応について、長官をチーム長とする検証チームを庁内に設置。当時の観光庁の幹部や担当者にヒアリングを行うなど指導・監督態勢を検証した。

 トムラウシ山での事故後、同社には聴取や指導のほか、5回の立ち入り検査を実施し、10年12月に51日間の業務停止命令の処分を下した。業務停止期間の終了後も、昨年12月までに3回の立ち入り検査を行った。

 中間報告では、観光庁の対応について「処分後のフォロー、指導・改善事項の遵守をチェックする検査が不十分だったのではないか」「観光庁幹部の指導、管理が不十分だったのではないか」などの課題を挙げて改善の方向性を示した。

 改善の方向性には、(1)立ち入り検査は速やかに、かつ頻度を高めて対応する(2)改善措置の確実な実施と事後的な確認・検証のため、ツアー登山等については安全確保の順守状況を記録させる等、検査方法の改善など必要な措置をとる(3)重大事案については方針を明確に示し、処分後の立ち入り検査等を継続的かつ頻度を高めて対応する—などを示した。

 
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