観光経済新聞社は24日、主催する第27回「にっぽんの温泉100選」(観光庁と観光関連8団体後援、トラベルジャーナル社協賛)の中間集計をまとめ、発表した。それによると、由布院温泉(大分県由布市)がトップの座を射止めた。中間段階で由布院が1位になるのは初めて。以下、草津(群馬県)、指宿(鹿児島県)、登別(北海道)と続く。投票は10月末で締め切られ、最終順位は12月初旬に開かれる予定の100選実行委員会の審査で決まる。
大手、中堅旅行業者やネットエージェントなどからの投票は7月から始まった。中間発表は事務局(本社)に届いた9235枚の投票はがきを集計した。
これまで、中間段階では草津、登別のトップ争いが続いてきたが、由布院が初めて1位に躍り出た。11年連続1位の座を狙う草津の追い上げなるか、それともこのまま由布院が逃げ切るか、注目される。
由布院は由布岳の麓、標高450メートルに位置する。市の調べによると、2011年の観光客数は約390万人。日本温泉協会の「温泉地宿泊者ベスト100」によると、10年の宿泊者数は約65万人で、29位にランクされている。
町中央の「金鱗湖」は湖底から温泉が湧き出す不思議な池で、冬季には温度差で霧が立ち込め幻想的な光景に。のどかな田園風景を行く「辻馬車」も名物の一つだ。景観を重視した町並みは旅情豊かで、女性の人気が高いことや、滞在型保養温泉地の取り組みなどが旅行のプロの支持を得たようだ。
ただ、2位の草津との差はそれほどなく、予断を許さない。草津は10年連続1位という圧倒的強さを誇るだけに、後半の追い上げもありそうだ。また、登別の動向も気にかかる。
ベストテンを見ると九州から4温泉地が入っているのが目立つ。九州新幹線の開業に加え、10月15日からはクルーズトレイン「ななつ星in九州」の運行も始まるだけに、九州の温泉地に注目が集まりそうだ。
中間段階で新たに100選にランクインしたのは17温泉。いきなり65位に入った長湯(大分県直入町)。07年には「日本一の炭酸泉」を宣言し、話題になった温泉地だ。
11年の東日本大震災、福島第1原発事故の影響が気がかりな福島県だが、土湯(82位)や飯坂(87位)、東山(93位)、いわき湯本(96位)などが圏外からランクインしており、健闘ぶりがうかがえる。
今回から観光庁が後援する。観光関連8団体は日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本観光振興協会、日本政府観光局、日本温泉協会、公益財団法人日本交通公社。
最終結果は12月14日付紙面に掲載する。