映画やドラマ、アニメなどのロケの受け入れ、ロケ地を活用したインバウンドを含めた観光振興など、地域活性化の方策の一つとして注目を集めるロケツーリズム。ロケツーリズムに取り組む地域や企業を表彰する各賞の授賞式や今後の活性化を考えるフォーラムが2月22日、東京都内のホテルで開かれた。
観光庁の「テーマ別観光による地方誘客事業」に採択され、支援を受けているロケツーリズム協議会(会長・藤崎慎一地域活性プランニング代表取締役)が主催する「第1回ロケツーリズムアワード」は、ロケ地を生かした地域活性化に成果を上げている自治体や企業を表彰。最優秀賞には、アニメ映画「君の名は」のロケ地の一つとなった飛騨市(岐阜県)が選ばれた。
ロケツーリズム協議会では、(1)ロケの受け入れ(撮影規約書の作成、作品の権利処理など)(2)観光客誘致(ロケ地マップの製作など)(3)住民参加のシティプロモーション(官民一体の組織的な対応など)―の段階別にマニュアルを策定し、地域の取り組みを支援している。事業の一環で「全国ロケ地MAP」も5言語で製作している。
フォーラムのトークショーでは、「これからのロケツーリズム」について、観光庁の米村猛観光地域振興部長が「地域がどう変わるのか、地域に何が残るのか。一過性に終わらせないことが重要。制作側、地域、観光客に共感を広げる仕組みを」と期待した。
ロケ地の効果を一過性に終わらせないために考えるべきこととして、NHK広報プロデューサーの川口俊介氏は「物語をいかに継続させるか。視聴者に気付かせ、もっと知りたいと思ってもらい、ファン自らが盛り上がって情報発信してくれるようにする必要がある」と指摘した。
また、地域を盛り上げた作品とロケ受け入れに尽力した地域などを表彰するロケーションジャパン主催の「第8回ロケーションジャパン大賞」の授賞式も行われた。グランプリには、映画「探偵はBARにいる3」とそのロケ地の札幌市が選ばれた。
他の各賞の受賞者は次の通り(敬称略)。
◇第1回ロケツーリズムアワード
地域大賞=綾瀬市(神奈川県)▽企業大賞=NTTグループ デイ・ナイト
◇第8回ロケーションジャパン大賞
準グランプリ=映画「ナラタージュ」・富山県▽特別賞・支持率部門=ドラマ「陸王」・行田市(埼玉県)▽同・地域の変化部門=連続テレビ小説「ひよっこ」・茨城県▽同・行楽度部門=アニメ「ユーリ!!! on ICE」・唐津市(佐賀県)▽同・撮影サポート部門=映画「昼顔」・いすみ市(千葉県)▽監督賞=片渕須直・映画「この世界の片隅に」▽ふるさと応援男優賞=大泉洋・映画「探偵はBARにいる3」▽ふるさと応援女優賞=有村架純・映画「ナラタージュ」・連続テレビ小説「ひよっこ」