
発表会に臨んだ水口支社長=写真右、山下知事=写真中央、小山会頭=写真左(奈良県提供)
奈良県とJR西日本、奈良商工会議所は24年12月25日、鉄道を利用した同県中南部への周遊観光、滞在促進プロジェクト「なら SLOW&LOOP」を発表した。同県内を環状に走るJR西日本の3路線を自由に乗降できるほか、沿線の酒蔵での特典をつけたデジタルパスを発売するほか、地域イベントなども実施。官民地域挙げて盛り上げたい考えだ。
プロジェクトでは、特集WEBページ(https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/slowloop/)やリーフレットを使い、沿線の見どころを紹介。その上で、8日から3月30日まで、周遊デジタルきっぷ「(ICOCAでGO)なら SLOW&LOOPデジタルパス~日本清酒発祥の地・酒蔵巡りの巻~」を、広域型MaaSアプリ「KANSAI MaaS」で発売する。連続する2日間、JR万葉まほろば線の全線、大和路線と和歌山線の一部で普通列車が乗り放題になるもの。沿線の五つの酒蔵のうち三つを選び、日本酒や奈良漬け、おちょこなどの特典がもらえる。「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され注目を集める中、同県が「日本清酒発祥の地」であることや、沿線には酒蔵が点在することなどから、鉄道を使って、同県中南部のさまざまな自然景観や歴史文化資源とともに酒などの食文化を楽しんでもらおうという取り組み。
2月23日、3月1、2日などには、沿線の京終駅、天理駅、三輪駅、JR郡山駅、法隆寺駅、王寺駅、香芝駅周辺などで、駅舎内マルシェや、駅周辺でのミニコンサートなど子どもも楽しめるイベントも行い、魅力発信を行う。
併せてJR西日本は、沿線の桜井・三輪での集中プロモーションキャンペーンも実施する。臨時特急まほろば車内での仏像乗車記念証の配布のほか、巳(み)年にゆかりある大神神社での神職による案内付きの特別参拝企画なども実施する。
同日、奈良市内で開いたプロジェクトの発表会には、山下真知事のほか、水口英樹・JR西日本阪奈支社長、小山新造・奈良商工会議所会頭(小山株式会社会長)が出席。奈良公園周辺部に集中する観光客の分散や、中南部への周遊促進への期待をそれぞれ語った。
今後は奈良商工会議所を事務局に、奈良市をはじめ沿線自治体や観光協会、商工会議所による協議会を設立。奈良県観光局とJR西日本をオブザーバーに、宿泊・周遊観光につながる施策の企画・実施や共同での広報活動に取り組む考え。インバウンド向けコンテンツの整備や他の交通事業者との連携などにもつなげたい考えだ。
発表会に臨んだ水口支社長=写真右、山下知事=写真中央、小山会頭=写真左(奈良県提供)