横手山渋峠スキー場、旅館経営生かし運営 


斉須正男氏

斉須氏(美湯の宿)、新会社も設立

 長野県山ノ内町で「美湯の宿」や「志賀パレスホテル」を経営する斉須正男氏が志賀高原の横手山渋峠スキー場の運営に乗り出す。12月中のオープンに向け、山頂のテラスやレストハウスの改装も順調に進む。スキー人口の減少などで取り巻く環境は厳しいが、旅館経営で培ったおもてなし精神とアイデアで挑む。

 同スキー場でリフトやスカイレーター(歩く歩道)、食堂、展望台などを運営していた横手山リフト会社が長野地裁に民事再生法の適用を申請したのが今年6月。7月に再生手続き開始決定を受けた。負債額は約5億6千万円だった。

 名乗りを挙げたのが斉須氏で、氏は地元有志とともに「S&T観光開発」を設立、社長に就任した。会長はタナベスポーツ会長でもある田辺宰至氏が就き、アドバイザーにはスキーワールドカップで活躍した海和俊宏氏、元観光庁長官で現大阪観光局理事長の溝畑宏氏が名を連ねている。

 同スキー場の最大標高は2307メートルで、志賀高原で最も標高が高い。雪質も良く、5月下旬まで滑走可能。スキーヤーの人気も高い。長野と群馬の県境に位置し、草津温泉とは観光ルート、シーニックバイウエイふるさと街道(国道292号志賀草津道路)で結ばれる。

 「横手山渋峠スキー場は恵まれた環境にあり、やり方によっては生き残れると判断した。これまでは冬場の営業が中心で広がりがなかった。スキー場を観光資源として捉え、通年営業で展開していく」と斉須氏。

 山頂にある樹氷(スノーモンスター)は蔵王の樹氷とそん色なく、スノーモービルを使ったそりや雪上車での樹氷見学でスキーヤー以外の観光客を取り込む。また、車で8分ほどの地獄谷野猿公苑のスノーモンキーは外国人にも人気で、樹氷見学と組み合わせることで外国人客にもアピールする。

 日本一高い山頂テラスは抜群の景色が売り物だが、日本初というクランペット(英国発祥の家庭的な焼き菓子)専門店「クランペットカフェ」を併設することで女性ファンの心をつかむ。近くには「雲の上のパン屋さん」の愛称で知られるヒュッテがあり、こことも連携し共存共栄を図る方針だ。

 斎須氏は「山頂テラスは『天空テラス満点ビューステージ』としてさらに手を加え、グリーンシーズンには星空観察を売り出していく」という。距離的に近い草津温泉や万座温泉とも手を組むなど、広域観光ルート作りにも余念がない。

斉須正男氏

 
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