日本銀行はこのほど、地域経済報告(さくらレポート)の7月分を公表した。全国9地域の景気の総括判断は、全ての地域で前回(4月)の判断を据え置いた。北陸、東海など6地域が「拡大」、北海道、四国など3地域が「回復」。ただ、先に発生した西日本豪雨の影響は反映されていない。
北陸と東海が「拡大している」、中国が「緩やかに拡大している」、九州・沖縄が「しっかりとした足取りで、緩やかに回復している」とした。
近畿は「一部に地震の影響がみられるものの」と前置きした上で「緩やかに拡大している」とした。
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観光関係企業などの地域ごとの主な声は次の通り。
【北海道】
「函館駅周辺は、アクセスの良さからインバウンド個人客に特に人気のエリアとなっており、大型ホテルの新設計画が相次いでいる。こうした動きに対抗して、客室リニューアルに踏み切った」(函館、宿泊)。
「当ホテルの稼働率は、引き続きインバウンド需要に支えられ高めに推移しており、現在の客室数では、これ以上宿泊客を受け入れられない状態」(札幌、宿泊)。
「北海道は首都圏に比べて公共交通網の整備が進んでいないことなどを踏まえると、民泊には向かない土地柄である。このため、民泊への流出は、夏場に局所的に見られる程度で、ほとんど影響はないと考えている」(札幌、宿泊)。
【東北】
「GW期間中は、桜の開花時期と重なることが多いものの、今年は例年よりも開花が早かったことから客足が遠のき、入り込み、売り上げともに前年を下回った」(福島、観光施設)。
【北陸】
「一部地域では、宿泊需要が横ばいで推移する中、ホテルの新設が相次いでいるため、競合激化によりビジネスホテルの客室稼働率が低下している」(金沢、宿泊)。
【関東甲信越】
「東南アジア地域で影響力を持つSNS利用者を通じた観光関連情報の発信、露出頻度を増やしたことで、同地域からの旅行客が増加傾向」(前橋、経済団体)。
【東海】
「増加するアクティブシニアの需要を獲得できており、平日でも客室稼働率は高めで推移している」(静岡、宿泊)。
【近畿】
「ホテルの客室単価は、一時下げ止まりの兆しが見られたが、都市部を中心としたホテルの建設ラッシュを受けて、再び下落基調となっている」(大阪、ホテル)。
「大阪北部地震の直後に見られた宿泊予約のキャンセルは一服している。今後、地震に対する過度な懸念が広がることで、訪日外国人客が減少しないか注視している」(大阪、ホテル)。
【中国】
「外国人宿泊客の増加を背景に高い客室稼働率を維持できていることから、段階的に宿泊料の値上げを実施」(岡山、宿泊)。
【四国】
「国内外で発行する旅行雑誌に広告を掲載するなど、PR活動を積極的に行った結果、国内個人客に加えて、台湾を中心としたインバウンド団体客も大幅に増加した」(高知、宿泊)。
【九州・沖縄】
「アジア圏からの団体インバウンド客の増加が続いているほか、国内ビジネス客も堅調に推移しているため、客室稼働率は前年を上回って推移している」(北九州、宿泊)。
「大河ドラマの放映効果により国内観光客が増加しており、休日の宿泊客数は前年比プラス10%以上増加している」(鹿児島、宿泊)。
「中小規模のホテルでは、民泊施設との競合激化から客室単価を引き下げざるを得ない状況にあり、収益率が低下している」(那覇、宿泊)。