日本観光振興協会(日観振)は5日、ガストロノミーツーリズム(GT)に関するシンポジウムを東京・青山の国連大学で開催した。国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所とぐるなび(東京都千代田区)が共催。日観振、UNTWO、ぐるなびが行った共同調査の報告発表などが行われた。観光関係者ら約350人が参加した。
シンポジウムでは冒頭、日観振の山口範雄会長が「GTは日本ではなじみは薄いが、世界領域では浸透した概念。美食文化は気候や風土、文化そのものと連動している。異なる文化を理解し合い、顔と顔を合わせることでより深く関係を構築できるきっかけになる」と説明した。
UNWTO駐日事務所の本保芳明代表は「食は日本の観光の強み。GTの知見を共有し、今後の取り組みの基礎としたい」とGTへの理解と共有を呼び掛けた。
来賓としてUNWTO前事務局長のタリブ・リファイ氏、観光庁の田村明比古長官が出席。リファイ氏は「日本は質素さや純粋さ、優雅さがある。世界のどの地域とも異なる」と日本の魅力を紹介。田村長官は「GTはフードツーリズムとも言われ、その土地固有の食べ物を体験できる。外国人の訪日にとって食は大きな強み。GTなどコンテンツを上手に生かすことで、地域の将来にもつながる」と述べた。
全国規模でのGTの調査は、日本で初めての試みで、自治体など約1800カ所を対象に初めて実施した。昨年7~10月にアンケート調査、8~10月に特徴ある事例抽出を行った。調査では、GTの認知度やツーリズム化などについて質問。「GTの言葉を聞いたことがある」が18%、「施策・事業として位置付け、位置付け予定である」が22%だった。また、課題として「食の提供者のレベルアップ」「地元事業者、生産者などとの連携」などが挙げられた。
このほか、基調講演やパネルディスカッションを実施。基調講演では、UNWTOアフィリエイトメンバー部のヨランダ・ペルドモ部長が「海外におけるガストロノミーツーリズムの潮流」と題してスペイン、アルゼンチンのGTの事例などを紹介した。パネルディスカッションは「ガストロノミーツーリズムで食文化を守り・育て、そして地域を元気に」をテーマに行われた。