日本旅館協会が総会、会費を24%引き下げ


東京で開かれた日本旅館協会の総会

東京で開かれた日本旅館協会の総会

 日本旅館協会(針谷了会長、2872会員)の2015年度通常総会が17日、東京都港区のホテルインターコンチネンタル東京ベイで開かれた。事務や事業の合理化による財務の改善、クレジットカード手数料率の低減化など、これまでの取り組みの成果を報告。平均24%に及ぶ本部会費の今年度からの引き下げも決めた。今年度の事業では、労働生産性の向上、外国人FIT(個人旅行者)の集客など、旅館業の活性化につながる事業を推進する。

 針谷会長は、昨年の会長就任の際の「約束」として(1)会務の立て直し(2)観光立国への貢献(3)会員メリットの増大—を掲げたことを踏まえ、委員会活動の成果などを紹介しながら、14年度の取り組みについて「会務を正常化し、事業も活性化できた」と報告した。

 「会務の立て直し」では、合理化により収支を大幅に改善。主な改善点は、旅館賠償責任保険の代理店業務を特定会社から協会本部の直轄に変更したことによる2061万円の収入増など。経費や事業の見直しで確保した予算のうち2176万円は、会費の徴収手数料やセミナーの開催支援費などとして支部連合会に還元した。

 客室数別に設定している本部会費の引き下げも実現した。客室数の区分を従来の20区分から9区分に見直し、会費額を平均24%引き下げた。主な区分では、「5〜20室」が1万5千円から1万2千円に。151室以上は従来6区分で9万2千〜12万5千円の間に設定していたが、「151室以上」と1区分にまとめて8万円にした。

 「観光立国への貢献」では、観光庁や日本政府観光局(JNTO)との情報共有を密にし、観光施策の立案、実施に関する連携を強化。「会員メリットの増大」では、VISAなどクレジットカードの手数料率について三菱UFJニコスから会員向けの優遇料率を引き出した。客室販売事業「オープン・ウェブ」も販売額、販路を増やした。

 15年度の主な事業は、訪日外国人旅行者の増加を踏まえ、インターネットを活用したFITの集客策について支部連合会ごとにセミナーを開催する。労務関連の問題では、新設した「労務委員会」を中心に、労働生産性の向上や人手不足の解消、外国人の雇用促進などに対策を打ち出す。JCBなどクレジットカードの手数料率の低減化に向けた折衝も継続する。

 あいさつで針谷会長は、民泊問題や耐震改修などの課題に全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)と連携して対応する考えを示したほか、「一層の会務の合理化を進め、組織を活性化させる。会員そして観光立国に貢献する団体にしていく」と改めて強調した。

 今年度は役員改選期ではないが、副会長の北原茂樹氏が全旅連会長に就任したことに伴い、副会長に増田友宏氏(春日ホテル、奈良県)が就任、理事に伊藤隆司氏(飛鳥荘、奈良県)が就いた。

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