日本政策金融公庫はこのほど、ホテル.旅館、飲食業など生活衛生関係営業の景気動向等調査の1〜3月期分を公表した。同期のホテル・旅館業の売上DIは前期比17.1ポイント減のマイナス8.1と、昨年4〜6月期以来3期ぶりにマイナス水準に転落した。生活衛生業全体はマイナス24.0と、前期のマイナス25.4から1.4ポイント上昇した。公庫では生活衛生関係営業の景況を「持ち直しの動きが続いている」としている。
売上DIは、売り上げが前年同期比で増加とする企業割合から減少とする企業割合を引いた値。
ホテル.旅館は昨年1〜3月期から10〜12月期までマイナス19.0、マイナス6.8、3.2、9.0と推移。前期まで4期連続で上昇し、昨年7〜9月期からは2期連続でプラス水準を続けてきたが、今期はマイナス水準に転落した。
来期(4〜6月期)は今期からほぼ横ばいの見通し。
生活衛生業全体の売上DIはマイナス24.0で、前期から1.4ポイント上昇した。2010年1〜3月期のマイナス54.9を底に、昨年1〜3月期までマイナス40台前後で推移してきたが、同4〜6月期にマイナス22.7と急上昇。以降、マイナス20台を維持している。来期はマイナス18.0に上昇する見通し。
業種別ではこのほか、飲食業、食肉・食鳥肉販売業、氷雪販売業、理容業、美容業、映画館、公衆浴場業の7業種で前期比上昇。前年同期比では全業種で上昇した。
ホテル・旅館業の特徴的な業況判断理由は次の通り。
「客室を全面改装したこともあり、関東方面からのお客さまも増えてきた」(今期好転、福島県)。
「郊外の大型商業施設の出店があり、それに伴い宿泊需要が継続してあった」(今期不変、岩手県)。
「毎年、この時期は顧客が減少するが、宿泊代金を下げても歯止めが掛からない」(今期悪化、新潟県)。
「サッカーJ1クラブ(徳島ヴォルティス)が誕生したので、ホームゲームの前後は高い稼働が期待できる。開業後まだ1年程度であり、『客室がきれい』という売りをしっかり守っていけるようメンテナンスをしっかりして信頼確保につなげる」(来期見通し好転、徳島県)。
「春はスポーツ大会や協議会の時期であり、県外から遠征する学生の宿泊所となる。長期滞在客の減少、光熱費や食材費の増加を補ってくれる」(来期見通し不変、栃木県)。