日本政策金融公庫はこのほど、旅館・ホテルなど生活衛生関係営業の景気動向等調査(7〜9月期)の特別調査として、価格動向とシニア層の集客に向けた取り組みについて調査した。旅館・ホテル業で、仕入れ価格が上昇した割合は78.8%と8割近くなのに対し、販売価格を引き上げた割合は34.5%と3割台にとどまった。またシニア層に特化した商品やサービスが収益面で効果があるとする回答が41.2%と半数近くを占めている。
前年同期と比較して、原材料などの仕入れ価格が「上昇した」とする割合は78.8%で、「変わらない」の20.0%、「低下した」の1.2%を大きく上回った。
一方、商品やサービスの販売価格を前年同期から「引き上げた」とする割合は34.5%にとどまる。最も多いのは「据え置いた」の60.6%で、「引き下げた」は4.8%と最も少なかった。
飲食、美容などを含めた生活衛生業全体で仕入れ価格が上昇した企業の上昇割合は「5〜10%未満」が44.4%、「5%未満」が33.4%、「10〜15%未満」が15.2%。仕入れ価格上昇による経営悪化への影響は「かなりある」が26.9%、「ある程度ある」が52.1%で、二つを足すと79.0%にのぼる。今後1年間の仕入れ価格の見通しは「上昇する」が59.8%、「変わらない」が36.9%、「低下する」が3.3%。
シニア向けサービス 4割が収益面で効果
旅館・ホテル業の売り上げ全体に占めるシニア層向けの割合は「1〜20%未満」が最も多く44.2%。以下、「20〜40%未満」が27.9%、「40〜60%未満」が17.6%、「60〜80%未満」が5.5%—など。
シニア層向けの商品、サービスなどで実施しているものは(複数回答)、「シニア層に特化した商品.サービスの提供」が21.2%と最も多い。以下は、「シニア層を対象とした割引の実施」が15.2%、「シニア層向けの接客強化」が14.5%、「バリアフリー設備の設置」が13.9%—など。ただ、「特に取り組みは実施していない」が59.4%と半数以上を占めた。
シニア層に特化した商品、サービスの収益面での効果は41.2%が「ある」と回答。「顧客の利用状況に応じて料金の割引を大きくしているが、リピーター化が進み、新たな顧客も増えてきた。また、コーヒーやデザートを無料提供していることも好評」などの声があがっている。
シニア層1人の1回あたりの平均割引率は「10〜15%未満」が30.4%、「5%未満」が26.1%など。
シニア層向けの接客では、「ゆっくりていねいにご案内」「車いすの要、不要を尋ねる」「貸し切り風呂の案内」などが効果があるとしている。