旅館・ホテルが旅行業登録、鶴雅グループは2種を


 第3種旅行業に募集型企画旅行の実施を認めた旅行業法の省令改正などを受けて、地域の観光協会などが旅行業に登録する動きが広がっているが、旅館・ホテルでも取り組みが始まっている。岐阜県・飛騨高山温泉の高山グリーンホテルは、今年7月に第3種旅行業に登録、地域の自然や文化に詳しいガイドを付けたツアーを企画し、今月から参加者募集を始めた。北海道・阿寒湖温泉の鶴雅グループでは、今年1月に新会社を設立し、第2種旅行業に登録、すでに3月からツアーを実施している。

 国土交通省は、今年5月から一定の条件下で第3種旅行業者が募集型企画旅行を実施できるようにした。旅行会社だけでなく、地域の観光資源を熟知した観光協会、NPO、宿泊施設などの旅行業登録を期待。着地型旅行やニューツーリズムを促進し、国内旅行の活性化を狙う。

 高山グリーンホテルは、社内にツアー事業部を立ち上げ、「高山グリーンツアー」と銘打ったツアーを秋の観光シーズンから展開する。今月3日から自社ウェブサイトや顧客へのダイレクトメールなどを通じて参加者の募集を始めた。

 高山市の地理は、第3種の活用に好条件だった。第3種が募集型企画旅行を実施できる区域は、営業所がある市町村とその隣接市町村の範囲内に限られるが、日本一広い市の高山市は、隣接市町村が10に及ぶ。長野、富山、石川、福井各県の市町村も含まれ、広域の観光資源をルートに組み込める利点がある。

 企画の第1弾は、上高地、白川郷をメーンにした2ツアー。同ホテルの宿泊がセットになっており、宿泊翌日の半日間余りで観光スポットを巡る。地元のNPO「飛騨自然学園」が養成した「自然案内人」(インタープリター)がガイド役を務める。「地域の自然、文化に精通した自然案内人が地元だから知りうる魅力を紹介する」(同ホテルの新谷尚樹社長)。 

 ツアーの実施で宿泊者数の増加、延泊も期待される。新谷社長は「軌道に乗るまでは当ホテルの宿泊と組み合わせたツアーとするが、将来的にはオプションツアーとして、飛騨高山の滞在者に広く参加してもらえるようにしたい。旅行会社との連携も考えていく」と語り、地域全体としての滞在日数の拡大、リピーターの確保に結び付けていきたい考えだ。

 また、鶴雅グループは、旅行部門を担う新会社「鶴雅トラベルサービス」を設立した。登録は第2種で、第3種に比べて営業保証金などの額が高いが、国内ならば区域の制限なく募集型企画旅行を実施できるため、阿寒湖滞在を軸に、周辺地域に加えて、道東一帯に足を伸ばせるツアーを企画している。同社では、グループが運営する旅館への宿泊を組み込まない日帰りプランなども実施している。

 さらに地元の阿寒観光協会が今月にも第3種登録を申請する予定。鶴雅トラベルサービスの金子力社長は「当社が先行する形になったが、観光協会と連携をとって着地型旅行を推進し、阿寒湖の観光を活性化させたい」と話している。

 
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