
記者懇談会には高橋会長と国内旅行、海外旅行の各推進委員長(副会長)らが出席
「公的支援が重要」「気運醸成の施策も」
日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長=JTB会長)は7日、「旅行業『再生』に向けて」をテーマに記者懇談会を東京都内で開いた。髙橋会長は、業界を取り巻くコロナ禍の厳しい状況を踏まえ、「全国旅行支援」の早期開始を含めた国による公的支援の継続を訴えるとともに、機運の醸成を図るプロモーションやイベントの実施など、自らの取り組みを説明した。以下にその要旨。
国際航空運送協会(IATA)の資料によると、今年の国際旅客数はコロナ前の2019年に比べて82%まで回復。2年後の24年は104%と、コロナ前を上回る回復を見せると予測されている。
しかし、アジア圏では、特に中国、日本が非常に厳しい規制を敷いていることから回復が遅れ、コロナ前を上回るのは3年後の25年ぐらいになるだろうと予測されている。
訪日旅行と海外旅行の再開、全国旅行支援の実施など、明るい話題が増えつつあるが、主要旅行会社の足元の売上額はコロナ前の3割から4割程度だ。
コロナ融資(無利子・無担保融資)を受けた後の企業倒産が急増している。事業が回復しない状態で本格的な返済が間近に迫り、返済原資が確保できずに事業を諦めたケースが増えている。
旅行業が置かれた状況も同様で、売り上げがコロナ前の3~4割程度しかない中で借入返済が始まった企業も多く、まさに切羽詰まった状況に直面している。
観光は政府の成長戦略にも掲げている通り、これからの日本経済を支える基幹産業として、さらに成長していかねばならない。
中でも地域経済を支える観光事業者は、その多くが国内、海外、訪日旅行など特定のマーケットに強みを持つ中小企業によって構成されている。
これらの観光を支える企業、言ってみれば観光インフラを維持していくためには、まずは早期に国内需要喚起策である全国旅行支援を開始すること。その上で、それぞれのマーケットが正常化し、各企業の体力が一定レベルに回復するまでの間、雇用調整助成金の特例措置や全国旅行支援などの公的な支援を止めることなく維持することが、何よりも重要であると強調させていただきたい。
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