政府が観光行動計画を決定、宿泊施設の容積率緩和へ


 政府の観光立国推進閣僚会議(主宰・安倍晋三首相)は13日、観光施策の行動計画「観光ビジョン実現プログラム2016」を策定した。3月に決定した「明日の日本を支える観光ビジョン」に掲げた目標の達成に向け、政府を挙げて実施する今後1年間の施策を具体化。文化財や国立公園を観光に活用するための戦略を策定するほか、観光産業の強化に向け、宿泊業の生産性向上、宿泊施設の建設に関する容積率の緩和などを推進する。

 文化財は、保存優先から地域と一体での活用へと政策を転換。「文化財活用・理解促進戦略プログラム2020」を早期に策定する。外国人向けの解説の充実を含め、文化財を中核とする観光拠点を全国に200カ所整備する。

 国立公園は、外国人を誘客するメニューづくりや情報発信などを強化し、「ナショナルパーク」としてブランド化を目指す。今年中にまず5カ所の国立公園を選び、「国立公園ステップアッププログラム2020」(仮称)を策定する。

 観光産業は、経営革新の支援や規制の見直しなどを通じて日本の基幹産業化を目指す。宿泊業では、ICT(情報技術)の活用や業務運営態勢の見直し、インバウンド対応の促進などで生産性向上を推進。宿泊施設の整備では、敷地面積に対しこれまでより多くの客室を設置できるように容積率制度を緩和する指針を策定し、夏ごろまでに地方公共団体に通知する。

 宿泊業の関係では、多様な宿泊ニーズへの対応策として、民間による宿泊施設の評価制度の導入を検討する。「評価の実施主体、評価方法などの運営手法の検討や課題の抽出について宿泊業界とともに取り組む」と盛り込んだ。

 査証(ビザ)の発給要件の緩和も進める。ビジネス客、文化人、知識人の数次ビザの対象拡大を中国は夏までに、ロシアは早期に実施。特定の大学生へのビザ申請手続きの簡素化は、中国は夏までに、インドは早期に実施する。

 国の観光施策を実施するための財源確保についても検討を開始する。拡大するインバウンドなどへの施策を強化するため、追加的な財源の確保策を模索。出入国時の手数料などを国の観光財源に充てている海外の事例も参考にしながら、受益者の負担を基本として手法の検討に取り組む。

 
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