岩手県田野畑村、机浜番屋群再建へ着工


22棟を再建する机浜番屋群の完成イメージ

22棟を再建する机浜番屋群の完成イメージ

 岩手県田野畑村はこのほど、東日本大震災の津波で流失した「机浜番屋群」の再建に向け、施設の整備に着工した。番屋群は、地元の漁師の作業場所であると同時に、漁業や漁村文化を体験する「番屋エコツーリズム」の拠点だった。震災前の姿を基本として再生し、来年3月中旬に完成を見込む。4月からは漁業への利用はもとより観光客の受け入れを始めたい考えだ。

 田野畑の沿岸は魚類やアワビなどの好漁場で、ワカメなどの養殖も盛ん。番屋は、漁具の収納やワカメの乾燥作業などに使われる。机浜番屋群は、1933(昭和8)年の三陸大津波の後に建てられた25棟で構成。体験・交流型観光の受け入れ拠点でもあり、地元の漁師と交流しながら、漁業や漁村文化に触れるプログラムを提供してきた。

 しかし、震災の津波で全棟が流失してしまったため、番屋22棟を再建する。番屋の建物は周囲の景観になじむ以前の外観を基本として設計し、配置も震災前の通りにした。事業費は2億5600万円で国の復興交付金を充てる。

 番屋の用途別内訳は、漁師番屋13棟、食体験番屋1棟、塩づくり番屋1棟、ダイビング番屋2棟など。漁師番屋は漁師に貸し出して実際の漁業に使用してもらう。観光客の受け入れでは、食体験番屋を漁師料理の体験に、塩づくり番屋を海水からの製塩体験などに使う。ダイビング客を呼び込む新施設としてダイビング番屋も設置する。

 田野畑村の観光復興では、小型漁船を使って沿岸の断崖絶壁などを巡る「サッパ船アドベンチャーズ」の今年4〜10月の参加者が約6千人に上り、震災前を上回っている。村内唯一の大型宿泊施設で、震災で建物に被害を受けたホテル羅賀荘も改修を経て昨年11月に営業を再開した。

 田野畑村政策推進課の渡辺謙克氏は「机浜番屋群の再生は田野畑にとって復興のシンボル。語り部から防災を学ぼうと訪れる旅行者は多く、来年以降の教育旅行に関する問い合わせも入っている。番屋群を再生して受け入れに活用し、復興の弾みにしたい」と話している。

 机浜番屋群の再生では、全国の個人や企業、団体などの支援者から集めた寄付金を維持管理などに生かしていく。支援者には、すでに番屋再生の構想策定などに参加してもらったほか、今後も伝統漁具の収集や木造サッパ船の復元などの活動に協力してもらう予定。

22棟を再建する机浜番屋群の完成イメージ
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