山梨県の横内正明知事と静岡県の川勝平太知事は12日、富士山世界遺産登録記念レセプション会場の帝国ホテル(東京都千代田区)で記者会見し、今月下旬から「富士山保全協力金」として登山者から任意で千円を徴収し、来年以降保全協力金徴収の本格実施に踏み切ることを明らかにした。期間は25日から8月3日まで。両県の登山道で任意で徴収する。
協力金の使い道について、川勝知事は「5合目より高い登山道や標識、トイレ、山小屋の維持管理に使うと分かりやすい」と述べた。
また、横内知事は吉田口の登山者が開山日(1日)からの1週間で、前年の1.5倍に達したことを明らかにした。登山者急増を予想し、誘導員を昨年の2倍の人数で24時間配置、警察官も昨年の5割増しにして万全な安全策を取っていることを強調した。
来年度以降については、マイカーや入山規制を強化する方向で検討する一方、富士スバルライン(山梨県)の夜間通行規制は「法律的に無理」(横内知事)として現状通りとした。
外国人誘客については、横内知事が、富士山に限らず観光地にWi—Fi(ワイファイ、公衆無線LAN)の使用個所を増やすとともに、外国語を話せる説明員を要所に配置することを進めると説明。川勝知事も、登山口にガイドを配置し、登山の安全周知を徹底するとしている。
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認定NPО法人の「富士山を世界遺産にする国民会議」(会長・中曽根康弘元首相)と両県などが主催して開かれた富士山世界遺産登録記念レセプションには、両県選出の国会議員や県議会議員、市町村関係者、両県出身の著名人、文部科学省、文化庁関係者ら約800人が出席し、世界文化遺産登録を喜び合った。
あいさつに立った中曽根会長は「日本の宝富士山は、ついに念願の世界遺産登録を果たし『世界の宝』になった。皆さんとともに喜び、おめでとうと申したい」と述べた。
この後、安倍晋三首相の妻、昭恵さんが、安倍首相の祝辞を代読した。
また、除外勧告を受けた三保松原(静岡市)の構成資産への“逆転認定”の実現に尽力した近藤誠一前文化庁長官は、長官として集大成の仕事をやり遂げた安堵感と富士山を見上げながら育った静岡県沼津市の情景、最近亡くなった父親の話題に触れ、目を潤ませながら喜びを語った。
8合目以上の所有権を持つ富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)の中村徳彦宮司は「所有者としてうれしい」と会場の笑いをとり、「先代の信仰を次世代に引き継ぐのがわれわれの役目」と述べた。
主催者としてあいさつする中曽根会長