宿泊施設の固定資産税、評価基準見直しへ


 政府は12月16日、2011年度税制改正大綱を閣議決定した。旅館団体などが要望活動を展開し、国土交通省(観光庁)が厚生労働省と共同で要望した旅館・ホテルの建物にかかる固定資産の評価基準の見直しは、「検討事項」として盛り込まれた。大綱に明記されたことで、実態調査などを経た検討の結果次第で、2012年度以降に評価基準が見直され、固定資産税の減税につながる可能性が出てきた。

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、国際観光旅館連盟、日本観光旅館連盟などが展開した要望活動が実った。日観連の近兼孝休会長は「旅館業界の長年の懸案だったが、旅館3団体が一丸で取り組み、大きく前進した」と来年度からの検討に期待した。

 税制改正大綱には、旅館・ホテルが「観光立国の観点から重要な役割を果たす」と位置づけられ、建物(家屋)にかかる固定資産評価について、「当該家屋の使用実態等を把握し、家屋類型間の減価状況のバランスを考慮するための実態調査等を行うなど、できるだけ速やかに検討を行う」と明記された。

 建物にかかる固定資産税は市町村税だが、総務相が告示する評価基準に基づいて算出される。税制改正大綱の記述は、評価基準の見直し作業を早期に進めることを意味する。記述にある「家屋類型間の減価状況のバランスを考慮」とは、旅館・ホテルの建物の使用実態を把握するだけでなく、他の用途の建物の減価の状況も調査して検討する方針を示したものとみられる。

 旅館3団体は、評価基準の見直しに向けて「旅館業は建物自体が商品である装置産業のため、建物の改装、改築が頻繁に行われ、大変な経費を要する。建物の固定資産税は原則、再調達価格を算出根拠としており、何年経過してもその評価額は下がることなく、税負担が重くのしかかっている」と指摘し、要望活望を強化していた。

 
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