東武ホテルマネジメント（東京都墨田区）が運営する浅草東武ホテル（同台東区）は、10月8日の開業1周年を記念し、東武鉄道の電車運転台を移設したシミュレータールームを新設した。おこもり需要の取り込みを見据えながら、鉄道ファンのみならず、一般利用者でも運転の醍醐味（だいごみ）を堪能できる空間に仕上げた。
同館の一室を「東武鉄道運転シミュレータールーム」（36平方メートル）に改装。同室内に、2013年から東武東上線の志木乗務管区で運転士の習熟訓練用として実際に使用している運転シミュレーターを移設した。運転台は東武50070型車両に搭載されているもので、利用者は本物と同じマスコンハンドルや速度計などの各機器で運転操作を体験できる。モニターには東武東上線の池袋―小川町駅間の上下線が映し出され、出発駅や出発番線、閉そく区間ごとの制限速度の設定も可能。制限速度が変わる区間ではＡＴＣ（自動列車制御装置）が作動して音が鳴る、ハンドルを動かす際には適度に力を必要とするなど、本物志向の強い利用者も納得のつくりとなっている。
客室内の設えにも工夫を凝らし、「りょうもう」号30周年記念ヘッドマークや浅草駅の駅名標、東武東上線の路線図や車両写真パネルを掲示し、東武8000型を模した抱き枕を配するなど、東武鉄道の魅力を大いに感じられる滞在空間を整えた。
シミュレーターの利用対象年齢は12歳以上だが、「大人の方の付き添いがあればお子さまもご一緒に楽しんでいただける。操作マニュアルも用意しているので、慣れればどなたでもスムーズに扱える」と、東武ホテルマネジメント宿泊予約オペレーションセンターの矢嶋良多主任。利用者に向けて、「電車の運転を楽しむと同時に、東武東上線の安全運行への取り組みを知ってもらえたらうれしい」との思いを述べた。
同館は利用期間を8日から11月4日まで設定し、4期に分け、開業1周年記念デイユースプランの予約を受け付けている。同プラン（同室）の利用料金は1万200円（消費税、サービス料込み）。チェックインは午後1時、チェックアウトは午後5時。1日1室限定で、定員2人。11月5日からは宿泊プランの販売を開始する予定。
運転体験ができるシミュレーター
東武鉄道の魅力が詰まった客室内の様子
