世界遺産の古都・奈良の文化財を紹介する展示施設「なら奈良館」(奈良市)でこのほど、古代ファッションと天平グルメ体験をテーマにした講演「奈良再発見シリーズ29」が行われた。古代の服装を題材にしたファッションショーや、天平時代(奈良時代)の食事を再現した料理の試食などを通じて学んだ。
同館では、「歴史が息づく古都・こころの旅」をテーマに、大和にある文化遺産に触れながら古都の面白さ、奥深さを再発見してもらおうと「奈良再発見シリーズ」を開催している。今回で29回目。118人が参加した。
古代ファッションでは、服飾デザイナーの山口千代子さんが作った4〜8世紀の衣装約30点を紹介。毎年秋に奈良国立博物館で開かれる「正倉院展」に出品される古代の制服や高松塚古墳壁画に描かれている女性の衣装などを真似て再現したもの。ボランティアらによるファッションショーも行われた。
また、天平時代の料理法を研究している尾道龍男・奈良パークホテル料理部長が当時の食文化について説明。同ホテルでは約25年前から古代料理の再現に取り組んでおり、約1300年前の宮廷貴族の食膳を復元した宮廷料理「天平の宴」を提供している。
講演終了後、グルメ体験の希望者は奈良パークホテルで「天平の宴」の料理の一部と大和地産の食材を使用した料理を組み合わせた創作料理「天平の抄」を味わった。奈良時代唯一の酪農商品で新鮮な牛乳を煮詰めた古代のチーズと言われる「蘇(そ)」や鮭、鮫など魚の干物「楚割り(すわやり)」など古代の珍しい料理を楽しんだ。
天平時代のグルメを体験