埼玉の観光資源、認知度低く、PR題意に


 埼玉県はこのほど、旅行動向や埼玉に対するイメージを探る観光実態調査の結果を公表した。小江戸・川越、長瀞ライン下り、鉄道博物館など県を代表する観光スポットを含めて、県内の観光資源に対する一般消費者の認知度はいずれも4割に満たなかった。ただ、興味や関心は高く、PR次第で集客力を発揮しそうな観光資源が多数あることが分かった。埼玉県のイメージとしては観光を想起させるキーワードへの反応は薄く、情報発信のあり方などが今後の課題として浮かび上がった。

 埼玉県は昨年9月、インターネット調査のモニター会員1031人(居住地=埼玉県340人、東京都・千葉県・神奈川県340人、その他351人)を対象にアンケート調査を行った。

 「よく知っている」「だいたい知っている」を合わせた観光資源の認知度は、鉄道車両などが展示されている鉄道博物館(さいたま市)が38.5%、渓流を下る長瀞ライン下り(長瀞町)が38.3%、日本最大級のショッピングセンター「イオン越谷レイクタウン」(越谷市)が37.8%、蔵造りの街並みがある小江戸・川越(川越市)が36.5%と比較的高かったが、いずれも40%は超えなかった。

 京都祇園祭、飛騨高山祭と並んで三大曳山祭に数えられる秩父夜祭(秩父市)は20.2%にとどまった。“地底神殿”とも呼ばれる洪水防止地下施設・首都圏外郭放水路(春日部市)も15.4%、約10万本の蓮の花がある古代蓮の里(行田市)も11.8%だった。

 しかし、認知度が低い観光資源でも、「興味がある」「やや興味がある」を合わせた関心度は、多くが約50%近くに達した。また、体験プログラムへの反応を聞くと、参加意向が高いメニューもみられた。埼玉県では「認知度は低いが、関心度は高いという結果がみられたものは、PR次第で観光資源になる可能性が高い。戦略的な取り組みが必要」と分析した。

 埼玉県に対するイメージは、都心への通勤圏としてベッドタウンなどの印象があるためか、「住宅地がある」が74.6%で最多。「自然が豊富」(44.6%)や「アクセスが便利」(44.3%)も多くが挙げたが、観光を想起させる「リゾート」「温泉」「おしゃれ、流行」などへの反応は薄かった。

 旅行実態についても調べた。昨年10、11月、県内の主要な観光スポット15地点で4060人から聞き取り調査を実施。日帰り旅行の割合は全体の88.9%に達し、宿泊旅行(県外宿泊含む)は10.2%だった。

 日帰りのうち県内客は62.1%、県外客38.0%。宿泊旅行のうち県内に宿泊したのは62.6%、県外に宿泊したのが30.9%、県内、県外両方に宿泊したのが1.4%だった。

 また、県内の複数の観光スポットを周遊する旅行者の割合が低いことも分かった。日帰り、宿泊旅行含めて訪問先が調査地点のみと回答したのは全体の78%。観光資源が単一で捉えられており、観光ルートや観光エリアとしての認識は低いという課題が浮かんだ。

 埼玉県は今年1月に「観光立県」を宣言。多様な観光資源を掘り起こし、誘客の拡大を目指している。首都圏のマーケットを念頭に日帰り旅行の誘致にも積極的だが、経済波及効果の高い宿泊旅行の誘致も今後の課題に挙げている。

 実態調査を踏まえ、県産業労働部観光課は「まずは埼玉の観光のイメージづくり。日帰り旅行で魅力を知ってもらい、訪問を重ねてもらう中で、宿泊観光にもつなげていく。調査結果を施策に反映させていきたい」と話している。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒