観光庁が国税庁の集計を基にまとめた2018年10月1日時点の外国人旅行者向けの消費税免税店数は全国で4万7441店となった。前年(17年10月1日時点)に比べて10.9%(4650店)増加した。前回集計の18年4月1日時点との比較では6.3%(2795店)の増加。政府は免税制度を順次改正し、利便性の向上や手続きの簡素化を進めている。特に地方に免税店数を増加させ、訪日外国人旅行者による消費拡大を目指している。
18年10月1日時点の免税店のうち三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8府県)に所在する店舗は前年比11.4%増の2万9345店、地方部(三大都市圏以外)に所在する店舗は同10.0%増の1万8096店となった。店舗数の構成比は三大都市圏が61.9%、地方部が38.1%。
全国の免税店数は、12年4月1日時点で4173店だったが、訪日外国人旅行者数の増加や免税制度の拡充に伴い約11倍に増加した。政府は、観光施策の中長期目標などを定めた「明日の日本を支える観光ビジョン」(16年3月決定)に地方部の免税店数を18年に2万店規模に増やす目標を掲げている。
18年10月1日時点の免税店数を地方ブロック別に見ると、中国地方(鳥取、島根、岡山、広島、山口の5県)は前年比13.8%増の1713店で2桁の伸び率だった。四国地方(徳島、香川、高知、愛媛の4県)は同8.3%増の666店、中部地方(岐阜、静岡、愛知、三重、福井の5県)は同8.2%増の3989店と伸びが目立った。
政府はこれまでに免税制度を順次改正してきた。14年10月に消耗品の免税対象化、15年4月に免税手続きの委託・一括カウンター制度導入、16年5月に一般物品の購入下限額引き上げ、18年7月には一般物品と消耗品の合算制度導入などを実施した。
19年度の税制改正では、免税店の臨時出店の新制度創設が決まっている。許可を受けている免税店事業者がイベントや祭りなどに臨時出店する場合、簡素な手続きで免税販売が実施できる。19年7月1日に開始する予定。
臨時出店の新制度は、地域のイベントや祭りのほか、19年のラグビーワールドカップ、20年の東京オリンピック・パラリンピックなどの大型イベントを控え、地域の特産品などの販売機会を増やすのが狙い。
さらに20年4月には、免税販売に関する手続きについて、購入記録票の旅券への貼り付けなどを不要にし、免税販売情報を電子化する予定。外国人旅行者の不便を解消し、免税店事業者の業務を効率化する。