日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館業、飲食業など生活衛生関係営業の価格動向に関する調査を行った。仕入れ価格が上昇したと回答した企業割合は、ホテル・旅館で72.4%と、前年の51.9%から20.5ポイントの大幅増となった。経営悪化への影響については、9割近くが「ある」と答えている。
生活衛生関係営業の景気動向等調査(2018年7~9月期)の特別調査として18年9月上旬に実施。ホテル・旅館は175企業が回答した。
ホテル・旅館の仕入れ価格の動向について、「上昇した」が72.4%、「変わらない」が24.7%、「低下した」が2.9%だった。
生活衛生関係営業全体(9業種)は、上昇が56.2%。これを上回ったのは、ホテル・旅館、飲食業(75.2%)、クリーニング業(72.3%)、食肉・食鳥肉販売業(62.4%)の4業種だった。
ホテル・旅館の5年間の推移を見ると、14年が78.8%、15年が74.1%、16年が52.3%、17年が51.9%と、3年連続で低下していた。
仕入れ価格上昇の背景を二つまでの複数回答で挙げてもらったところ、全業種で「天災・天候不順」が54.0%と最も多く、以下「原油価格の上昇」(37.0%)、「原材料等の生産量の不足」(25.5%)、「原材料等の流通量の不足」(17.3%)、「外国為替レートの変動による輸入品価格の上昇」(14.7%)が続いた。
仕入れ価格上昇の経営悪化への影響は、ホテル・旅館で21.4%が「かなり影響がある」、67.5%が「ある程度影響がある」、8.7%が「どちらともいえない」、1.6%が「影響はない」、0.8%が「分からない」だった。
「かなり影響がある」と「ある程度影響がある」を加えた88.9%、およそ9割が「影響がある」としている。
仕入れ価格上昇分の価格転嫁について業種別に聞いたところ、ホテル・旅館で62.7%が「全く転嫁できていない」と回答した。