「観光産業を日本のリーディング・インダストリーに」をテーマにしたシンポジウム「KYUSHU ISLANDS SUMMIT 旅館・ホテル・温泉が支える未来」(九州運輸局主催)が2日、福岡市の九州産業大学で開催された。観光・宿泊関係者、学生らが講堂を埋め尽くし、今後の観光産業、特に宿泊業の展望について熱心に耳を傾けた。
シンポジウムでは、宿泊業が地域の伝統文化を継承する「地域のショーケース」としての役割を担い、そのおもてなし文化が日本の重要な魅力であることが強調された。
また、日本の「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組み(登録目標は最速で2028年)が紹介され、100万人の署名活動や、九州の温泉地が積極的に取り組んでいる再生可能エネルギーの活用、滞在型温泉保養地の推進など、具体的な事例が示された。
第1部の基調講演では、世界観光機関(UNWTO)駐日事務所代表の本保芳明氏が「宿泊施設の魅力発信と地域」をテーマに講演した。
本保氏は、2019年の全国平均宿泊客に占める外国人観光客の割合が19.4%(14年8.7%)に達したことを挙げ、将来はインバウンドが宿泊客の半分を占める可能性があると指摘。一方で、日本の旅館の宿泊割合は19年で7.7%と、15年の11.1%から減少傾向にあるとした。
日本の旅館の海外における認知度は低いのが現状だと指摘。その要因として、旅館の定義やスタンダードが統一されていない点を挙げ、グローバルチェーンのような統一されたブランドイメージの構築が重要だと強調した。
会員向け記事です。