下呂温泉観光協会 会長 瀧 康洋氏に聞く

  • 2022年9月21日

瀧会長

個人客がコロナ禍前を超える

新たなマーケティングデータを活用 宿泊施設や飲食店の魅力向上

着地型日本版DMOの成功モデルとして注目を集める下呂温泉(岐阜県下呂市)。3年ぶりとなる行動制限の無い夏休みは好調な観光客数を記録した。瀧康洋・下呂温泉観光協会長に今年度の状況と今後の展望を聞いた。

 ――国内観光客の中でも個人客の誘客が成功している

 瀧 コロナ禍前の2019年度と比較して4月5・3%増、5月24・9%増、6月21・6%増、7月8・1%増、8月もかなりの手ごたえがあった。観光協会としてはコロナ禍以前も国内観光客の誘致には注力してきたが、ウィズコロナの時代となって、団体客、MICEはキャンセルのリスクもあり、積極的なセールスは控えている。MICEの助成金などは小グループ客の補助に用途を広げることや、平日のシニア層にターゲットをしぼったプロモーションを行った。この施策がヒットしている。インバウンドは外国人観光客の入国規制の緩和が段階的に実施されているので今のところ回復には時間が掛かるとみている。既存の海外の旅行会社に加えて、新規でヨーロッパの旅行会社からの問い合わせが来ており、コロナが終息後には送客したいとのことだ。国内個人客が好調でもコロナ禍以前の宿泊観光客数100万人はまだまだ及ばない。国内個人客を7割から8割、団体を1割から2割、インバウンドも1割から2割の比率にすることでコロナ禍以前の宿泊客数、もしくはそれ以上の人数を達成できると考えている。

 ――国内観光客の傾向は

 瀧 今年度は各方面からの訪問。目立つエリアはない。移動手段も自動車が多い。新しい層としては7月にJR東海が高山本線の特急ひだに新型車両を投入した。鉄道ファンや小さな子ども連れの家族客で新型車両目当ての観光客を見かけるようになった。今後も運転本数も増えると聞いているので、新型車両での下呂への鉄道旅行の快適性が向上していく。

 ――今年度も多くの補助金を活用している

 瀧 今年度は計画していたすべての補助事業が採択された。下呂市DMOの宿泊統計などのマーケティングデータを100%デジタル化する。アプリを使ったデータ収集やレンタサイクル(電動アシスト自転車)のGPSデータの収集も始めている。観光DXの推進事例だ。このGPSデータを元に観光サイクリングマップを作成する。下呂温泉街周辺の利用が多いが舞台峠や馬瀬まで足を伸ばしている結果が出ているので、5つ作成する観光サイクリングコースに反映させる。いわゆるサイクリスト向けのマップとは異なる。下呂市は広いので、利用者の負担や安全性も考慮して下呂市広域のコースにもしない。広域移動を推奨するのではなく、金山、萩原などレンタサイクル(電動アシスト自転車)の拠点を増やしていくような戦略を取りたい。

 ――新しい観光商品は

 瀧 持続可能な看板商品創出事業では、下呂と言えば温泉や花火のイメージが強く継続性という面でも選んだ。温泉は下呂温泉郷湯巡りマイスター制度を確立し、温泉について深く知識を持ってもらい、日本の温泉文化の発展や下呂温泉ファンを増やしていく。下呂温泉以外にも市内の温泉への周遊も図る。花火については3年ぶりに開催した下呂温泉まつりのメインイベントの下呂温泉花火ミュージカルで初めて有料桟敷席を設定し販売した。新型コロナウィルスの再拡大の懸念や準備期間も短かったが用意した40席は完売となった。今年は花火の人気が全国的に高くなっているが一過性のブームや飽きられることがないように、下呂はこれまでのテーマ花火や音楽花火の技術力の高さ、鑑賞スポットの豊富さ、臨場感を楽しめる立地など質の高い花火を提供することで、魅力のあるコンテンツとして大事にしていく。

 エコツーリズム商品はエコツーリズムとDMOを組み合わせたE―DMOを推進しているなか、コロナ禍前よりも利用者が増加している。好調なエコツーリズム商品だけでなく日帰り温泉や、まちあるき、グルメなど体験商品を対象にオンラインクーポンを発行している。最大半額になるクーポンで、利用も1人から可能となっている。

 ――SDGsについては

 瀧 E―DMOやエコツーリズム商品が好調ということでエコの関係が注目を集めるが会員施設に対して行っている岐阜協立大学のトヨタ生産方式カイゼンリーダー養成プログラムがSDGsの大きな柱だ。コストダウンやスタッフの作業の軽減が図れ、観光客に質の高い商品やサービスを提供できるようになる。経営者にとてもメリットがあり、持続可能な経営を実現できる。まちづくりでは大きなものが注目を集めるが観光地や温泉地では宿泊施設や飲食店などの魅力向上も重要だ。「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化」には17施設が採択された。施設によってさまざまなリニューアルが行われる。観光協会では民間のSDGs認証を受けているが、次にグローバルサスティナブルツーリズム協議会(GTSC)のグリーンデスティネーション(GD)の認証取得も目指す。すでに申請は終えている。

 ――スイーツや食については

 瀧 スイーツめぐり、カフェ巡りは定着しておりまだまだ伸びてきている。9月にはさらに1店舗オープン予定。食については文化庁の「食文化ストーリー創出・発信モデル事業」を活用して「下呂市の朴葉寿司」の文化財登録を目指す。朴葉寿司はホオノキの葉に酢飯やサケの切り身などを包んだ郷土料理。その他ユニークなものとしては「ぎふジビエ」を水明館では導入した。「ぎふジビエ」は岐阜県内で捕獲したイノシシやニホンジカを地域の資源として考え、食用として有効に活用していくために正しく解体、処理をされた肉などのことで加盟店として登録した。和洋中で提供している。

 ――下呂市観光交流センター「湯めぐり館」は

 瀧 下呂市、下呂温泉観光協会と中部電力ミライズ、NTTドコモによる「下呂未来創造プロジェクト」の取り組みとして、SDGsや観光DXなどを採用して4月にオープンした。デザイン性も高く、広場や施設内の利用も多い。想定通り、花火の鑑賞スポットとしても数多く利用された。観光DXの面では、駅前にある観光案内所と遠隔で結んだ観光案内システムの導入やスマホを使って24時間貸し出し可能なレンタサイクル(電動アシスト自転車)も設置。使用する電力も環境に配慮した電力だ。
交流スペースや休憩スペース、多目的トイレ、授乳室も備え、まち歩き観光や自転車観光の拠点となっている。

下呂温泉まつり初日の8月1日には、今回実施を見送った龍神火まつりりの龍みこしの展示や映像が流されるなど活用が進んでいる。

瀧会長
 
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