チーム「道産子」が最優秀賞
宿泊業や外食業の次世代を担う若手が業界の課題に提言する「ネクストリーダーズ」の発表会が9日、札幌市内で開かれた第7回「観光・ホテル・外食産業展HOKKAIDO2024」(日本能率協会主催)のプログラムとして開催された。「若手の離職防止」「人材育成」をテーマに6チーム34人が研究成果を発表した。コンテスト形式で審査が行われ、最優秀賞には、「心理的安全性と離職の相関性」について研究した「道産子」チームが選ばれた。
ネクストリーダーズは、宿泊業、外食業などの20~30代の若手がチームに分かれ、研究、議論した成果を発表するプログラム。総合ファシリテーターを東洋大学国際観光学部准教授の徳江順一郎氏が務めている。コンテストは札幌、東京、大阪、福岡の4会場で行われ、各会場で最優秀賞に選ばれたチームは、来年2月に東京で開催されるHCJ(ホテル・レストラン・ショー)で行われる全国大会に進出する。
最優秀賞に選ばれた「道産子」は、松尾宣彦氏(マツオ)をリーダーに、市川麻子氏(トーホウリゾート)、沼田弦氏(京王プラザホテル札幌)、奈良美華氏(札幌プリンスホテル)、細尾武史氏(ラテラル・シンキング)、植村将志氏(鶴雅グループ)で構成するチーム。宿泊業などの離職率が他の産業に比べて高いことから、離職率を下げる対策を研究した。
「道産子」は、離職には、組織の中で自分の考えや気持ちを安心して発言できる「心理的安全性」が深く関わっていると指摘。特に人間関係、労働環境、やりがいに関する問題が心理的安全性の低下につながると分析。対策例としてアンガーマネジメント(怒りの感情などをコントロールするトレーニング)による人間関係の円滑化、労働時間の改善、評価体制の確立などを提言した。
徳江氏を委員長とする審査員は、「道産子」の発表について、「先行研究を軸に、さまざまな調査を組み合わせ、よく分析できている」「実現可能な現実的な答えを導き出している」などと評価。会場の聴講者の投票と併せて最優秀賞に選ばれた。
優秀賞には2チームが選ばれた。このうち「脱☆離職」チームは、Eラーニングによる自己啓発やマニュアルの改善、人間関係を構築する研修などの人材教育の重要性を提言。「離職ダメ、ゼッタイ。」チームは、個人にとって離職は自己実現や好待遇獲得のきっかけであり、転職が一般化する中、企業側は、離職を契機とした組織の改善に取り組むべきと指摘した。
優秀賞のチームのメンバー、徳江氏以外の審査員は次の通り(敬称略)。
脱☆離職=作山駿平(京王プラザホテル札幌)、小島麻衣子(札幌プリンスホテル)、上野紘一(KITAKOBUSHI RESORT)、清水修巳(札幌ビューホテル大通公園)、吉原駿(洞爺湖鶴雅リゾート洸の謌)
離職ダメ、ゼッタイ。=石上佳那(ホテルニュー王子)、白旗基裕(イーストン)、村上優希(札幌プリンスホテル)、茂治悠斗(札幌グランドホテル)、慶松和樹(洞爺湖鶴雅リゾート洸の謌)
審査委員=小室陽介(北海道四季経営社長)、池田純久(京王プラザホテル札幌特別顧問)、西野目智弘(ホテル大雪ONSEN & CANYON RESORT社長)、木原昌良(北海道観光機構常務理事兼事務局長)
「心理的安全性と離職の相関性」を研究した「道産子」チームが最優秀