スキーツアーに参加した大学生らが死亡した長野県軽井沢町でのバス事故の発生から15日で5年を迎えた。赤羽一嘉国土交通相は15日の会見で、貸し切りバス事故の再発防止に万全を期す考えを表明した。コロナ禍による経営への影響が安全性を低下させてはならないとして、貸し切りバスの事業許可の更新制、下限割れ運賃の防止など、旅行業界なども含めた安全対策に引き続き取り組む姿勢を強調した。
赤羽国交相は「コロナ禍の影響で全国の貸し切りバス事業者は大変厳しい経営状況に置かれているが、それが原因となって安全が軽んじられないよう対策を推進し、安全、安心の確保に万全を期していきたい」と述べた。
スキーバス事故を受けて国土交通省は2016年6月、貸し切りバスの安全運行の総合対策を策定。道路運送法の改正で事業許可に5年ごとの更新制を導入したほか、営業所ごとの運行管理者の選任数を引き上げた。新設した適正化機関による貸し切りバス事業者への巡回指導も始めた。
発注元となる旅行業者に関しても、旅行業法を改正し、規制の対象外だった旅行サービス手配業者(ランドオペレーター)に登録制度を創設したほか、ツアーの募集パンフレットなどに運行する貸し切りバス事業者名の記載を義務付けた。
安全を軽視した安売りの是正、取引環境の適正化に関しては、運賃料金の上限下限の運送引受書への明記の義務付け、下限割れ運賃に関する通報窓口の設置、旅行業界に対する新運賃・料金制度の周知徹底などの措置も講じた。