観光産業に長年従事してきたメンバーでつくるNPOシニアマイスターネットワーク(理事長=作古貞義・流通科学大学名誉教授)は18日、東京都文京区の区民センターで第30回産学ジョイントセミナーを開いた=写真。日本ホテル協会事務局長の満野順一郎氏が講演し、観光産業を担う人材の育成に向けた大学でのカリキュラムのあり方などを提言した。
満野氏は、観光庁が設置している「観光人材育成のための産学官連携検討会議」の作業部会のメンバーで、経営マネジメント能力の養成を重視した大学のカリキュラムモデル案づくりに携わった。講演ではその検討内容を紹介したほか、産学の交流を通じた人材育成の必要性について語った。
観光関係の学部学科を設置する大学が増加する一方で、観光産業で観光系大学からの採用が進まない現状に対し、満野氏は「産業界が求める人材と大学が輩出する人材のギャップを埋めるには、産学が交流し、観光産業の特性をしっかりと踏まえた教育内容を構築するべきだ」と訴えた。
また、観光庁で作成したカリキュラムモデル案を通じたマネジメント層の育成について、「経営戦略や財務の科目を重視する内容だが、観光産業ではお客さまの前に出せる基礎教育ができていることが前提。環境に柔軟に対応できる人材を現場は求めている。日本の人事制度、産業構造の特性を考え合わせた教育が重要だ」と指摘した。