コロナ禍で考える「労働生産性向上」

  • 2021年3月15日

東京都内で行われた全旅連青年部全国大会の分科会。経営者3氏が自社の取り組みを発表した

サービス態勢見直しと従業員のマルチタスク化

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部(鈴木治彦部長=岡山県・名泉鍵湯奥津荘)が2月18日に行った全国大会の分科会で、「Withコロナにおける労働生産性向上の取り組みと実例」をテーマに、経営者3氏が自社の取り組みを発表した。館内のサービス態勢見直しや従業員のマルチタスク化で感染防止と並行して自社の生産性向上に成果を上げるなど、「ウィズコロナ時代」ならではの課題解決を図った。

 全旅連青年部が全国の青年部員にコロナ下の取り組みについてアンケートを実施。「革新的なアイデア」の3社を抽出した。

 愛知県などで19軒の旅館・ホテルを運営する「SPA&RESORT海栄RYOKANS」は、新型コロナの感染防止へ、顧客満足度を考慮しつつスタッフと顧客が接する機会を極力減らすサービスを実践。要員や労働時間が減り、労働生産性の向上にもつながった。

 チェックイン時は部屋への案内や呈茶を希望制に変更。夕食の開始時間は30分刻みの選択制から、旅館側であらかじめ時間を設定する形に変えた。料理は6~8品を1品ずつ提供する形から、2~3品を一つの膳に盛り込み提供回数を2~3回に減らすスタイルに変更。布団敷きは密の回避を理由に顧客に依頼したり、ベッドを導入したりするなどを模索した。

 パブリックトイレの封鎖、大浴場のカランと棚の間引き、客室などのごみ箱の間引きを行い、清掃時間を削減。各館で行っていたイベントは1館の担当制にし、他館へはライブ配信。チェックアウト時の精算は前夜のうちに行ってもらう事前精算を推奨している。

 従業員のマルチタスク化は以前から行っていたが、フロントスタッフがチェックアウト作業後に清掃を行うなど、さらに推し進めている。

 同社の渡邉琢磨副社長は「お客さまの志向が(コロナ禍初期から)変化している。コロナ下の接客について、常にアンケートを見ながら考えるようにしている」と話す。

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 「松本ホテル花月」(長野県松本市)の松岡一成専務は、松本広域旅館ホテル若手の会のメンバー2氏(ホテルニューことぶき・金井圭氏、上高地温泉ホテル・青柳浩一郎氏)とともに新会社「京(けい)」を設立。QRコードを活用した受け付けシステム「COROSUKE(コロスケ)」を開発した。

 チェックイン時、旅館がQRコードを自館のパソコンやタブレット端末に表示。顧客がスマートフォンで読み取ると、住所、氏名などチェックインに必要な情報を記載する欄がスマートフォンの画面に表れる。顧客は客室でこれらの情報を記入する仕組みだ。

 フロントの3密回避とともに、少ない要員で業務を効率よく行ったり、顧客との事務的な接触を極力減らし、余力をもてなしの時間に充てることを目指したと同社。自館での活用とともに、同業者に向けて安価で提供するなど全国での普及を目指している。

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 愛媛県でホテル(宇和パークホテル)や旅行会社、自動車教習所、ドローンスクールなど幅広く事業展開する「オキノ」は、事業の枠を超えた従業員のマルチタスク化で労働生産性の向上を図った。

 これまで予約とフロント業務のみを行っていたホテルのフロントチームが旅行業とレンタカー事業、教習所の指導員がドローンスクールの事業も担当。事業の枠を超えたマルチタスク化が「(従業員の)モチベーションと専門知識、売り上げの向上にもつながっている」と同社の沖野恭彰常務。

 スタッフのシフトを見直した。ホテルのフロントチームは昼の中抜けをなくし、その時間、事務や清掃作業に従事。パートが早朝から行っていた朝食準備は一部を遅番の調理チームが前夜に行うことで、パートの労働時間を削減した。

 新型コロナの感染拡大で「これまでなかった業務が増え、経営幹部が従来行っていた業務を(新たな業務と)並行して行うことが困難になった」といい、グループの全てのポジションの業務内容を見直した格好だ。

 分科会を担当した全旅連青年部労務委員会の櫻井博史委員長(草津白根観光ホテル櫻井)は、「労働生産性の向上はわれわれの業界にもともと問われていた課題。コロナ禍の今は、自館のオペレーションを1回リセットして、新たに組み立てるいい機会でもある」と話している。

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