クラボウは12日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が15分で判定できる抗体検査試薬キットを16日に発売すると発表した。
クラボウは、研究用に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体を15分で検出する検査試薬キットの国内販売を本年3月16日から開始いたします。
1.販売に至る背景
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界的な感染拡大を受け、現在国内では、遺伝子を増幅させるPCR法による検査が一般的に行われていますが、この方法では結果が出るまでに時間を要し、患者の適切な処置の遅れにつながる危険性もあります。また、新型コロナウイルスを使った試験・検証も難しく、試薬や検査キットの開発にも時間がかかることから、簡便で迅速な検査方法のニーズが高まっています。
当社の環境メカトロニクス事業部バイオメディカル部は、これまで食品中の成分や食中毒菌などのDNAを短時間で判定できる核酸クロマト法やイムノクロマト法試薬キットの開発・販売を行ってまいりました。今回、中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法の原理に基づいた「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」を日本国内に輸入し、販売を開始いたします。
なお、上記の検査は、中国における標準診断法の一つとして、去る3月4日に中国での診療ガイドラインに採用されました。
2.製品概要等
(1)製品概要
「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」は、少量の血清・血漿・全血をピペッターで専用のテストストリップに添加したのち検体希釈液(専用試薬)を滴下することにより15分で新型コロナウイルス感染の有無を目視で簡単に判定できます。これにより、少量の血液を用いた簡便な操作で、迅速な検査が可能となります。また、特殊な装置や専門知識も必要がないため、PCR法の遺伝子検査と比べても、時間、コスト、作業スペースの削減など検査の大幅な効率化が図れます。
(2)本キットの特長
一般的なPCR法では、感染初期の患者に対しては、ウイルスの検出が難しいと言われていますが、本キットでは、感染時に体内で生成される特定の抗体を検出するため、感染初期の患者に対しても判定が可能です。また、PCR法が採取サンプル中のウイルス量の影響を受けやすいのに対し、本キットでは血液中に抗体が存在すれば判定が可能なため、サンプル採取方法や採取部位による偽陰性が出にくいという特長があります。さらに、血液を使って判定できるので、検体採取時に懸念される検査作業者への二次感染のリスクも軽減できます。
(3)本キットの種類等
感染の初期段階で生成される抗体「IgM」用の検査キットと、感染後長期間にわたり最も多く生成される抗体「IgG」用の検査キットの2種類があり、これらを併用することで、より精度の高い検査が可能となります。なお、いずれのキットも体外診断用医薬品ではなく、新型コロナウイルスの抗体の有無を見るための研究用試薬キットとしての使用に限定されます。
ア.キット内容
1キットで10検体分の試験ができます。
・テストストリップ10本
・専用ピペッター10本
・検体希釈液(専用試薬)1本
・取扱説明書1冊
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット(IgG)
イ.適用サンプル:血清・血漿・全血
ウ.販売価格
・新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット(IgM)
25,000円/キット
・新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット(IgG)
25,000円/キット
*1キットは10検体分 *価格は税抜き価格
エ.販売先(予定)
衛生研究所、臨床検査会社などの研究・検査機関
3.販売開始時期(予定)
2020年3月16日