
投票結果について意見を述べる実行委員メンバー(本社会議室)
観光経済新聞社が主催し、観光関連9団体が後援する第22回「にっぽんの温泉100選」の審査会が12月1日、東京都台東区の観光経済新聞社本社で開かれ、そのランキングを決定した。トップは草津温泉(群馬県)。これで6年連続であり、底堅い人気を示す結果となった。2位の登別温泉(北海道)、3位の指宿温泉(鹿児島県)は、前回の4位、5位からそれぞれ2ランクアップしてベスト3に入った。
にっぽんの温泉100選は、旅行のプロである旅行会社の投票から、消費者に支持されているその年の人気温泉地を探るのが目的。温泉地ランキングに刺激を受けた各温泉地が競い合うことで、全国の温泉地の活性化につながってほしいという狙いもある。
後援には日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟、全国旅館生活衛生同業組合連合会、日本温泉協会、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本観光協会、日本政府観光局、財団法人日本交通公社の9団体が名を連ね、協賛はトラベルジャーナル。まさに「観光業界が認める人気温泉地ランキング」と言っても過言ではない。
今回もJTBや近畿日本ツーリスト、日本旅行をはじめとする大手・中堅の旅行会社と、じゃらんネットや楽天トラベルなどネットエージェントに7月1日から10月末までの期間、投票を呼び掛けた。投票ハガキ枚数は、記載不備や組織票などを除き、1万2721枚(前回1万1652枚)に。1枚のハガキに最大5カ所の温泉地を記入できることから、総投票数は3万6638票(同3万6004票)を数えた。
1位の草津温泉は日本3名泉の1つで、「泉質主義」を打ち出すほど泉質に自信を持つ。「湯畑」を中心にした独特の温泉情緒が客を引きつける。宿泊施設も充実し、旅行者の多様なニーズに応えられるのも強みで、送客のしやすさから旅行会社の支持を得たとみられる。
2位の登別温泉は硫黄泉、食塩泉など多彩な温泉が湧き出ており、「温泉のデパート」と言われている。周辺には地獄谷やクマ牧場など見どころも多い。
指宿温泉は鹿児島県を代表する温泉地で、名物の「砂むし温泉」も有名。前回も5位と存在感を放っていたが、08年のNHK大河ドラマ「篤姫」による効果で篤姫ゆかりの地として注目を集めたことが、今回3位へと押し上げた要因の1つと言えそうだ。
前回からそれぞれ2ランク下げて、4位が由布院温泉(大分県)、5位が黒川温泉(熊本県)。ベスト5の顔ぶれは前回と変わりないものの、ベスト5内のせめぎあいが激しかったようだ。
ほかベスト10内では、下呂温泉(岐阜県)が11位から7位へ、鬼怒川・川治温泉(栃木県)が13位から10位へと上昇した動きが目立つ。この勢いを持続して次回はどこまでランキングを上げられるか注目される。
審査会では、「特に上位は、温泉地名とともにいくつかの旅館名も思い浮かぶようなところがほとんど。妥当なランキング」と委員の意見が一致。「あぐらをかくのではなく、いろいろな取り組みを行っている結果が表れている」との総評もあった。
九州の温泉地が比較的上位を占めている点について「地域で切磋琢磨している」という現状を指摘する声も出ていた。
また、審査会では温泉100選とともに実施している旅館・ホテルの人気投票「人気温泉旅館ホテル250選」についても決めた(結果は12面に掲載)。新規は16選。旅館・ホテルは施設の規模や求める顧客層などがさまざまで一律に比較できないため、ランク付けはしていない。
5回以上の入選を果たした優秀旅館ホテル「5つ星の宿」は250選261軒のうち191軒(前回は203軒)。新規入選は14軒。(250選では、1つの温泉地内に同一経営者による別館や系列館などがある場合、すべての旅館・ホテルをまとめて1選とカウント。一方、5つ星の宿では、別館や系列館などをそれぞれ1軒とカウントしている)
近年、にっぽんの温泉100選、人気温泉旅館ホテル250選、5つ星の宿は、一般マスコミや情報サイト上で取り上げられるケースが増加。旅行会社の宿泊企画商品にも活用されるなど、その知名度が旅行・旅館業界内だけにとどまらず、広く一般にも高まりつつある。
にっぽんの温泉100選実行委員会メンバー=小関政男・国際観光旅館連盟専務理事▽中村義宗・日本観光旅館連盟専務理事▽島村博幸・全国旅館生活衛生同業組合連合会理事▽寺田徹・日本温泉協会専務理事▽五月女貞四郎・日本旅行業協会国内旅行担当部長▽松田真人・全国旅行業協会経営調査部長▽長嶋秀孝・日本観光協会常務理事▽塚本恭丈・日本政府観光局観光情報センター長▽萩本健二・財団法人日本交通公社常務理事▽江口恒明・観光経済新聞社社長(順不同)