じゃらんnetを運営するリクルート社が個々の旅館ホテルの承諾を得ず勝手に各施設の“公式フェイスブックページ”を作成し、7月1日に公開したことで、宿泊業界内に反発と不安が広がっている。事態を受け、全旅連青年部は全国の宿泊施設を対象とした無料セミナー「緊急開催じゃらんnetと『facebook』連携で宿泊業界はどう対応すればいいの」を8日・名古屋(つちやホテル)、11日・大阪(道頓堀大和屋)、14日・東京(全国旅館会館)で開いた。急きょ設定、開催したものだが、3会場合わせて約100人が参加した。
講師は、青年部メンバーで、フェイスブック、ツイッターなどのソーシャルメディアに詳しい佐野康治・ビジネスホテルビーエル社長と、ソーシャルメディア・マーケティングコンサルタントのノブ横地氏が務めた。
佐野氏は、リクルート社が6月30日、全国の宿泊施設に対してFAXを1枚送付し、各宿の“公式フェイスブックページ”を作成したので翌日7月1日から公開すると通達してきた手法について「極めて一方的で遺憾」と述べた。東京会場では、「(リクルート社が)なぜフェイスブック社に対して(全契約旅館ホテルの)公式代理人を名乗り、人さまの公式ページを勝手に作成、公開したのか理解に苦しむ」との声が複数の参加者からあがった。
横地氏は、リクルート社の本当の目的は、SEO(検索エンジン最適化)効果にあると指摘。その上で「勝手に作成した“公式フェイスブックページ”を分析すると、じゃらんnetへのリンクが無数に張られている。このことにより、宿の“公式フェイスブックページ”を訪れた見込み客をすべてじゃらんnetに誘導するからくりだ」と解説した。さらに「フェイスブックから無数の被リンクを一夜にして獲得したため、じゃらんnetというウェブサイト自体の評価が上がり、ヤフー、グーグルなどで検索した際に、上位表示されるようになる。これは、ヤフー、グーグルにリスティング広告代を払わずして、じゃらんnetを上位表示させる錬金術に他ならない」と説明した。
横地氏は最後に、有効な対策として「各宿、または業界団体がじゃらんnetに対して“公式フェイスブックページ”の『削除』を求めるしかない。先方は『非公開』をすすめているが、非公開では、じゃらんnetのSEO効果が持続してしまい、彼らの思うつぼだ」と助言した。
講演する佐野社長