アフターコロナにおける旅館の取り組み
コロナ禍の3年間が終わり、旅館として反転攻勢ができる状況となった今こそしなくてはいけないことはただ一つ、年収を日本人の平均年収に近づけていくことだけと考えます。現在の日本人の平均年収が約460万円に対し宿泊業は約270万円、この現状では人手不足は必然です。だからこそ、ここは賃上げをするための利益確保が必須であり、それをするためには、お客さまの旅館に対するマインドを変えなくてはいけません。価格帯によってやるべきことは違う部分がありますが、料金アップがなかなかできない旅館もありますので、弊社で取り組んだことを紹介します。
まず2022年より施行されたプラスティック資源循環促進法に沿って、比較的リーズナブルなグループ旅館はサステナビリティの観点よりハブラシなど該当の5種類をすべて有料にし、多くのお客さまの認知をいただきました。時にお小言をいただくことはあるものの、有料販売での売り上げ、清掃のセットもなくなったことの生産性向上、そしてSDGsと一石三鳥の改革でした。本来のこちらの法律の趣旨はハブラシ等を持参してくれるようになることですから、アメニティが付いていないことをデフォルトにすべきと考えます。
また、賃上げのための利益確保として、今まで多くの旅館はサービス料込み、消費税別という考え方が当然の常識となってしまっていましたが、しっかりとお客さまにするサービスへの対価として、サービス料を頂戴するようにいたしました(10%)。そのサービス料こそまさにスタッフへの賃上げに還元するものですし、スタッフにもお客さまへのサービスで料金が発生するという責任感が生まれてきます。これまでに日本人のサービスという意味が無料と捉えられてきてしまったことが大きな失敗だと思います。しっかりサービスをして料金がいただければ給与も上がるということを、スタッフにも実感してもらえれば、企業としても旅館としてもいろいろな意味で好循環になっていくことは間違いないことだと確信しております。
今回例を挙げた二つの取り組み以外にも、旅館に対する日本人のお客さまのマインドを変える取り組みをし、旅館のスタッフの平均年収を上げていくことが、宿泊業の地位向上、観光業が日本の基幹産業になっていくことにつながっていくと信じていますので、今後もそのような取り組みを業界の中でも最先端のスピードで、グループ一体となって実践してまいります。そのことで業界に寄与できるような「記念日の宿 海栄RYOKANS」であり続けていく所存です。