観光経済新聞社は5日、観光業界の識者を招いてのオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第21回配信を行った。JTB総合研究所主席研究員の山下真輝氏が、「自然資源の保護と活用によるこれからのツーリズム戦略~世界に選ばれるデスティネーションを目指して~」をテーマに講演した=写真。
山下氏は、高付加価値旅行者の地方誘客の取り組みとして、国立公園の活用策と事例を解説。国立公園に対する認知がいまだ低い点を指摘し、環境省が運営する「国立公園に、行ってみよう!サイト」や「国立公園満喫プロジェクト」を紹介した。「旅行先が国立公園だった、と後から気付くこともある。まずは自身が訪れる場所に国立公園があるのか関心を持つことから始め、関連サイトを参考にしながら活用方法を考えるのが良い」「国立公園の自然環境『保護』と、地域産業の活性化、持続的発展の『利用』の好循環を考えていくことが大切」と伝えた。
世界の旅行者に選ばれるデスティネーションを目指す上で、山下氏は「”量”から”質”の観光へとよく言われているが、高付加価値ツアーを提供するだけではなく、安全対策や危機管理、環境への貢献や持続可能性への取り組みのバランスが重要」とアドバイス。先進地の事例として、北海道弟子屈町の観光振興計画を紹介した。