【焦点課題】全日本ホテル連盟 会長 清水嗣能氏に聞く

  • 2021年8月3日

清水会長

名称変更、次の50年へ

MVV策定、存在意義を明確に 会員、地域、国に貢献できる組織へ

 ――今年創立50周年を迎え全日本シティホテル連盟から全日本ホテル連盟へと再び名称を変更。経緯は。

 「シティホテルと旅館しかなかった時代、廉価で便利なビジネスマンのための宿需要の高まりを背景に、1971年11月に全日本ビジネスホテル協会として発足した。その後、ビジネスホテルは多様化した。本来ビジネスホテルは宿泊特化型の施設を指すが、会員の中には宴会場などを備えるミニシティホテルのような施設もあった。『ビジネスホテル』という語、概念では各会員を網羅できておらず、当時、より良い名称がないかと機運が高まり、全日本シティホテル連盟へと改称した。しかし改称当初から、『われわれはフルサービス型のシティホテルの集まりなのか』という疑問があった。会員の大半がビジネスホテルなのに、なぜ名称に『シティ』が入っているのかと。今回の名称変更に際し、これまでの当会の歩みと変更についての詳細を関係各位に説明し、ご理解をいただけるよう努めた」

 ――名称変更に伴って思い描く連盟の未来は。

 「50年の歩みを振り返り、これから50年、当会がどうあるべきかを考えたとき、『存在意義』の重要性を再認識した。かつて京都のあるホテルで記念催事を実施した際に、同館内の華やかな雰囲気に触れ、自らが経営している福井のビジネスホテルは果たして存在意義があるのだろうか、と悩んだこともあった。しかし、自館の存在意義をどのように打ちだし、高めていくかが大切だと気付いた。当会を存在意義のある組織にしていきたい」

 ――組織としてどのような存在意義を打ちだすか。

 「自らが受ける利益や恩恵のために生きるのはつまらない。世のため、人のための存在であるべきだ。会員ホテルへの貢献はもちろん、観光立国に貢献できる組織であるべきだと考えるようになった。旅行で日本に訪れたある台湾の方が、『日本は地域ごとに歴史や文化が異なっていて面白い』と語っていた。観光立国の観点から各地域の発展に協力する、これが今、特に力を注ぎたいところだ。『自分たち(会員ホテル)のこと』『地域のこと』『国のこと』を3本柱に捉えている」

 ――連盟の方針としてMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を策定した。

 「『時代のニーズを捉え、革新性をもって、会員ホテルの価値向上を支援するとともに、観光立国の実現と地域の発展に寄与する』というミッションを最初に掲げた。ブランド戦略プロデューサーの山本秀行氏の力を借り、各役員から挙がった意見を先述の『自分たち』『地域』『国』に分類し、抽出した文言を集約してMVVの基本概念を形成した」

 「先輩方が新ジャンルの施設としてビジネスホテルを立ち上げ、革新を起こしてきた。これを当会のDNAとして、ビジョンに『イノベーターになる』という言葉を入れた。ミッションをビジョンのもとで遂行し、会員ホテル、地域、国に寄与するバリューが生まれる」

 「MVVに、『新しい物語を、ホテルから』というステートメント(標語)を付加した。新しい物語とは、われわれ連盟にとってでもあり、各会員施設を訪れるお客さまにとってのものでもある。お客さまの楽しい思い出づくりのお手伝いをするのがホテルマンの使命だ」

 「昨年3月の理事会でMVVを審議した際、コロナ禍が広がり始めた。MVVについてこのままで良いのだろうかという声もあった。しかし、時代のニーズを捉え、というフレーズを含んでいるように、時代や状況に応じてやり方は変わるかもしれないが、自分たちがすべきことを推進していくのがわれわれのミッションだ、と再認識した」

 ――会長就任3期目のビジョンについて。

 「『国づくり』として観光立国に貢献したい。『会づくり』として役員会や理事会などの会議に関する事柄を整えたい。『人づくり』として地域に尽力できるような人材を育てたい。『宿づくり』として自館を含めた各施設を充実させたい。MVVで当会の目指す方針を明確にし、4本の『つくり』をより強く推進していく」

 ――具体的な内容は。

 「会づくりでは、会員数1千軒を具体的な目標に定め、達成できた。国づくりには『インバウンド委員会』『地域活性化委員会』、会づくりには『総務委員会』『広報情報委員会』、人づくりには『研修委員会』『青年部』、宿づくりには『調査研究委員会』『経営情報委員会』を振り分け、各委員会の活動を通し会員施設間での情報共有に引き続き努める」

 ――地域活性化に力を入れている。

 「松本市や福井市でタウンミーティングを実施した。日観振などと連携し、各自治体に働き掛けながら開催に向け動いた。松本の会では開智小学校の子供たちが『松本の未来図』を描き、地元の魅力を発表していた姿に感銘を受けた。地域への貢献は今後も継続する」

 ――メッセージを。

 「会長として会員1千軒、名称変更、方針の策定などを達成できたのは会員の皆さんの協力があってこそ。これからも当会の存在意義をより確かなものにするために行動し続けたい」

 

しみず・つぐよし=1955年生。麗澤大学外国語学部イギリス語学科でシェークスピア劇を研究。卒業後東京YMCA国際ホテル専門学校専攻科へ進学。その後同校で教員として奉職。80年ホテルあけぼのに就職、87年社長に就任、現在に至る。
【聞き手・内田誉紀】

 
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