【旅館ホテルのおもてなし 77】飲み物をサービスする2 大谷 晃


 ●ビール

 お出しするビールの種類を見極めて、その銘柄に合った適温で提供できるようにします。

 グラスは、高級な宴席ほど小型(ひと口グラス)になっているので、注ぐタイミングも早くなります。注いだままそのままにしておくと、ぬるくなり、また、どんどん味が落ちてしまいます。飲む時に注ぎ、そのまま飲み干すのがおいしいビールの飲み方といえます。注ぎ足しも味を落とすといわれているので注意しましょう。また、お客さまから「自分流でやるからいいよ」と言われた時は、お任せしましょう。

 ■ビールの注ぎ方

 瓶のラベルが正面になります。正面を上にして、中央よりやや下方を持ち、ラベルがお客さまに見えるような角度で注ぎます。

 日本酒同様、置き注ぎはいけません。お声掛けしてからお客さまにグラスを持っていただきましょう。また、グラスの中に、ビール瓶の口先を差し込むような注ぎ方は品がありませんし、ビールの味を殺してしまいます。

 注ぐ時は、まっすぐに立てたグラスに、初めはゆっくりと、次第に勢いよく注ぎ、きれいに泡ができてきたら、その泡を持ち上げるような気持ちで、静かに注いでいきます。グラスの半分くらいまで注いでから一呼吸間をおいて、改めて注ぎ足すくらいがよいでしょう。泡の割合は、グラスの上部に2~3割くらい立てるのが適量でしょう。グラスの縁からふっくらと盛り上がっている状態にします。この泡をドイツではブルーメン(花)と言い、泡はビールのおいしさを守ってくれるものとされます。ぎりぎりまで注いでしまいグラスの縁からこぼれるようではいけません。無理のない範囲にとどめます。ビールも徳利(とっくり)と同様の要領で、注ぎ終える直前にはビール瓶の口先を手前に回しながら持ち上げます。

   *    *

 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。  

※観光経済新聞11月18日号掲載コラム

 
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