【新年ごあいさつ】 日本旅館協会 会長 大西雅之


3年ぶりの春に向かって

 新年明けましておめでとうございます。3年前、私たちはコロナ禍という未曽有の危機を迎え、今日まで長く厳しい環境に耐え忍び、必死に戦ってまいりました。年が明け、今年こそ暖かな春が来ることを願いながら、新たな気持ちで筆を執っています。

 昨年10月、入国者数の上限が撤廃され、全国旅行支援も始まりました。いずれもわれわれが重ねて要望を行ってきたものであり、まさに念願がかなった瞬間でありました。各地域に少しずつにぎわいが戻り、旅行を楽しむ国内外からのお客さま、忙しいながらも生き生きと働かれる従業員の皆さまの姿を想像し、大変喜ばしい気持ちになります。

 しかし、この3年間のダメージは短期間で取り戻せるものではなく、インバウンドが回復する前に、早くもソフトランディングに向けた動きが出てきたことには、業界の実情と大きく乖離(かいり)しており、力不足に忸怩(じくじ)たる気持ちであります。再び活気に満ちた業界を取り戻すため、本年もしっかりと活動してまいります。

 まず一番の課題となるのが業界の人手不足です。コロナ禍で、わが業界を含むサービス業から多くの働き手が離れていってしまいました。こういった方々に戻ってきてもらうため、さらには、将来を担う若者たちに選ばれる業界になるために、業界全体の地位を向上させる必要があります。

 全国旅行支援の開始に際し、一部の報道で「便乗値上げ」という言葉を使って、宿泊料金の値上げについて批判されました。諸物価の高騰もありますが、そもそも高付加価値化によって生産性向上を図ってきた中で、宿泊料金だけが据え置きになるはずがありません。さらに、われわれが提供する「おもてなし」には大きな価値があるということを、もっと大々的にアピールしていかなければならないと強く感じております。

 「業界全体の地位向上」を最終的な目標として掲げ、各委員会では、働き方改革、業界のデジタル化推進、外国人材の雇用促進、キャッシュレス決済手数料の低減、アンケート調査の確立等に取り組んでまいります。

 お正月のことを「新春」「賀春」などと言いますが、これは旧暦に基づいた表現とされています。業界としての春はまだまだ先のようにも感じますが、その足音は着実に近づいています。春を迎えるための準備として、全国旅行支援の早期再開とさらなる期間延長、そして直近の運転資金だけでなく、過剰債務の負担軽減を視野に入れた金融支援について、副会長の皆さま、そして新型コロナウイルス対策本部を中心として、国会議員の先生方や関係省庁との意見交換を密に行い、本年もしっかりと陳情・要望活動を行ってまいります。

 業界にとって明るいニュースが多く飛び込む1年になることを願いながら、皆さまからのご指導、ご鞭撻(べんたつ)を重ねてお願い申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 

 
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