【新年あいさつ】宿泊業が生き残るための道とは 日本旅館協会会長 北原茂樹

  • 2020年1月5日

北原会長

 便利さを追求するデジタル社会が、AIやVR、ARといった新しい技術革新を繰り返しても、人間はいつか必ず飽きる生き物であることは歴史が証明しています。Amazon.comの創業者であるジェフ・ベゾスが「消費者は決して満足しない」と言っていますが、これは飽きっぽい人間の習性を表していると思います。一方で、便利さや進歩こそが“善”なのか?という根元的な問いにふと立ち止まるのも人間であり、人間社会の特徴とも言えるのではないでしょうか。

 これからの観光は「持続可能」でなければならない。これは間違いのない視点であると思います。目先の利益に振り回されてはいけないという商人の心得でもあります。さまざまなマーケティング理論がありますが、旅人(消費者)のニーズを探るためには固定観念を打ち破るしかないのではないでしょうか。そこでポイントとなるのが、現場で働く人の勘です。極めてアナログの世界であり、各旅館・ホテルの飽くなき探求心が求められます。また、旅人が宿泊するという行為は生活体験の一つです。地域に根差した生活文化を味わってもらうためには、地域の方々との共生が不可欠です。旅人が自分らしく旅をするための手助けをするのが宿泊施設の重要な役割であると信じています。

 われわれ協会としてはストレスフリーの観光インフラの整備に注力し、そのための施策を国や自治体に要求していくという使命があります。近年急増している災害の多発に対してもしっかりと備えをしていかねばなりません。避難マニュアルの作成などを進めてまいります。

 さらにキャッシュレス化といった動きがある中で、お客さまの個人情報をしっかり管理し、セキュリティーに万全を期すことが今まで以上に求められています。お客さま目線のデジタルトランスフォーメーションを進めて消費者の信頼を勝ち取ることが宿泊業界で生き残るための必須条件であると確信しています。真のおもてなしを提供し続けるトップランナーとして、宿泊業の末永い発展のために寄与してまいります。

 最後に昨年多くの自然災害で被災、ならびに風評被害で大きな打撃を受けられた皆さまが1日でも早く復興されますことを祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。

 
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