【全日本ホテル連盟創立50周年特集 記念対談】清水会長 × 小林副会長

  • 2022年11月15日

MVVS策定の背景とこれからへの思い

 清水 ANHAが50周年を迎えるに当たってMVVSを策定した背景には、「私たちの連盟は社会に役に立つ団体でありたい」という強い思いがありました。実は、これは私がこの業界に入った当初から、ずっと考えていたことなんです。これまでの連盟の活動は、会員同士の情報交換や行政への陳情が中心でしたが、広く社会に貢献していくためには、自分たち本位ではなく、「三方良し」の考えのもとに連盟の存在意義と立ち位置を明確にする必要がある。日本の観光立国と地域社会の発展に寄与するというミッションを明確にうたうべきだと思っていました。

 小林 私も地元の松本で青年会議所に所属したり、PTA会長や旅館組合長を務めたりする中で、「街づくり」や「人づくり」について学びました。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会では、清水会長と一緒に活動してきました。そしてANHAの前身である組織に参加したわけですが、この間、社会は大きく変化し、私たちの組織の名称も全日本ビジネスホテル協会から全日本シティホテル連盟に変わり、会員も多様化してきました。そうした変化を踏まえて、連盟の存在意義を見直すことの必要性、活動の柱になるものの必要性を感じていた時に迎えたのが50周年でした。

 清水 日本の人口はますます減少しており、各地域では、いかに交流人口を拡大していくかが大きな課題となっています。私たちANHAとしても、もっと人々が活発に交流し合えるように地域の魅力づくりのお手伝いに力を尽くしたいと思っていますし、それこそが連盟のミッションだと考えています。今回、全員で共有できるしっかりとした理念ができましたので、これからはあらゆる活動のベースにしていきたいと考えています。

 小林 やるべきことを決めるための方程式が、これほど明確にあるのはとても良いことです。50周年だけでなく、ANHAの将来を考える時にこのMVVSを背骨にすると非常に分かりやすい。会長も私も、会員の皆さんがMVVSを起点に組織の現在地を確認して、将来の活動の方向性を考えてくれることを期待しています。

 清水 MVVSの策定過程では、これが市民権を得て広く浸透していくよう、なるべく皆さんの思いや意見を取り入れるようにしました。2019年の秋に役員や業務執行理事を中心とするワークショップを開催して、一人一人の心の中にある思いを言葉にして付箋に書き出してもらいました。そして、それらを「これまでやってきたこと」「これからやっていきたいこと」「他の団体でもやっていること」「自分たちしかやっていないこと」という4マスのマトリクスに分けて整理していきました。

 小林 思い返してみると、やってきた活動を言葉にするのも簡単なようで難しかったですね。自分たちがやってきたことの中にも、自分や会社、家族、地域、もっと大きくくくると、国や世界のために行動してきたことなど、さまざまなことが含まれていることに気づかされました。このプロジェクトを支援してくれたコンサルタントの山本秀行さん(プラントライブ代表)は、私たちの思いや言葉をうまくMission、Vision、Valueにまとめてくれたと思います。「時代のニーズを捉え、革新性をもって、会員ホテルの価値向上を支援すると共に、観光立国の実現と地域の発展に寄与する。」―全てこの文章に入っているわけですから。

 清水 2020年3月の業務執行理事会でStatementが発表された時は、皆さんから「かっこいい」と拍手がわいて感動的でしたね。このMVVSが本当に市民権を得ることができたと感じました。

 小林 「新しい物語を、ホテルから。」というStatementの策定に関わった人たちは、その言葉の裏にある100、200の単語が走馬灯のように浮かぶはずです。また、ワークショップに参加しなかった人にとっても、進むべき方向性がすっと理解できる言葉です。だから、これから私たちの会社が事業、地域などいろいろなところで役に立ちたい、とアクションを起こす時、この言葉は自信を持って使うことができるのです。

 清水 MVVSを決めた時は、ちょうど新型コロナウイルスがまん延してきた時期でした。業務執行理事からも生活様式が変わりつつある中、「MVVSの内容はこのままでいいのか」という意見が出ましたが、ミッションには「時代のニーズを捉え」という言葉が入っています。これはもうこのままでいけるぞ、と思いました。私たちを取り巻く環境は刻々と変化していますが、MVVSは長く活動の柱になるものだと信じています。

 小林 MVVSが決まったことで、どうやって理念を実現していくかということを新しいテーマとして考えていきたいですね。

 清水 MVVSは、ただの言葉ではなく、行動を促すものです。実際、松本と福井でタウンミーティングを開催しましたが、MVVSは「街ぐるみの取り組みを通じて自分たちがお世話になってきた地域に貢献するのだ」という行動を起こす勇気を与えてくれました。

 小林 清水会長も私も次の世代にバトンを託す時期で、植物でいえば、育ってきた芽に水をかけるのが役割だと思っています。今まで、いろいろな活動によってお金では買えない、人とのつながりを得ることができました。今回のタウンミーティングも、そのつながりが人を呼んでくれました。もしかしたら、タウンミーティングは自分の仕事の集大成だったのかもしれません。今まで地域に育てられた恩を返したい。その思いからタウンミーティングのテーマを「新しい物語を、松本から。」としたのですが、ANHAの看板を掲げて新しい活動に踏み出せたことは、とても意義のあることだったと感じています。

 清水 組織運営においては柱となる活動が必要ですから、タウンミーティングは、今後も活動の一つとして続けていきたいですね。また、各会員にとっては、従業員同士が交流してお互いの課題を解決し合うような組織であってほしいと思います。全国のホテルで働く皆さんがつながって情報を交換したり、友達をつくったりすることで、ホテル業界全体が活性化していく。さらに枠を広げて、ホテルに関わるさまざまな業界の皆さんがもっと集まってきてくれるとうれしいですね。

 小林 次世代の皆さんには、新しいことに挑戦して感動を味わってほしいと思います。人と話をして、時には一杯飲んで言いたいことを言って経験を積み上げていく。たとえ失敗しても、その失敗は必ず次に生きます。私もたくさん失敗してきましたが、全て何かの糧となっています。新しいチャレンジは大変ですし、無理をしなくてはならないこともあるでしょう。でも、それらを経験することで人も組織も強くなります。そういった人たちの集まりである限り、当連盟は続いていくと思います。

 清水 私からもう一つ加えると、やはり活動は「楽しくなければ続かない」ということです。「あの人に会いたいから」「この活動が楽しいからやるんだ」というモチベーションを引き出して継続させていくことも、この組織のめざすところです。そうしたことのきっかけになればと思い、Webサイトのリニューアルに合わせて会員向けページも作りました。従業員の皆さんが、休憩時間や仕事の合間に、このWebサイトでセミナー視聴やホテルの専門的な知識を学ぶことができるようになれば良いですね。一人一人が「こうなりたい」「こうありたい」と将来に思いをはせ、そして力を合わせてその実現に取り組んでいく。全日本ホテル連盟がそんな組織であり続けることを、心から願っています。

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