地域の事業承継活性化をめざして
長野県野沢温泉の河一屋旅館は、二つの事業を柱としたコンサルティング事業部を立ち上げた。地域の宿泊施設や商店が次世代に事業を引き継ぎ、街全体が活性化することを目指している。
広大なスキー場のふもとに13の外湯と家族経営の旅館や個性的な商店が立ち並ぶ同温泉。インバウンドの増加で冬季は活況を呈するが、活況ゆえに休む間もないほどの労働環境となり、次世代への事業承継を望まない高齢の経営者が増えてきた。
「当社でできることを」と、不動産と人材育成の二つの事業を柱としたコンサルティング事業部「なっぱコンサル」を立ち上げた。不動産は経営に見切りをつけた宿泊施設の事業者に、アパートやシェアハウスへと施設の用途変更を提案するもの。人手不足の要因の一つ、極端な住居不足を解消するとともに、村を出た子供たちが将来、宿泊業を再開できる可能性を保持するものだ。
人材育成は、同館が力を入れるマネジメント研修の、他館の人材への参加呼び掛け。2019年度は計8回行い、若手経営者を中心に68人が参加した。次代を担う地域の子供たちへの研修も行っている。