【交通トレンド分析256】フェス開催での飛行機・鉄道における経済効果 鳥海高太朗


 9月7日(土)・8日(日)の両日、宮崎市の「ひなたサンマリンスタジアム宮崎」でアイドルグループ「日向坂46」が「ひなたフェス2024」を開催し、多くのファンが全国、そして台湾などアジアからも宮崎に集結した。

 日向坂46のファンの愛称「おひさま」と呼び、日向坂46というグループに改名して以降、宮崎を日向坂46の聖地にするべく、既に聖地巡礼で宮崎を訪れる「おひさま」が増加していたが、今回のフェス開催はグループにとっても宮崎の関係者にとっても悲願であった。私も今回の宮崎での「ひなたフェス2024」の開催へ向けて、日向坂46公式YouTubeチャンネル内の「ひなたフェス対策本部」に出演する機会を頂戴した。

 メンバーと共に交通手段、ホテル確保などについて考えるとともに、宮崎空港発着便および宮崎市内のホテルが取れない際の代替ルートや宿泊先などについての提案などを行い、4月7日に横浜スタジアムでのコンサートの最後に宮崎でのフェスが発表されたが、その瞬間に宮崎市内のホテルがすぐに満室になり、飛行機も開催前日の9月6日・7日の終日および8日午前中の下り便、8日・9日の上り便がすぐに満席となった。

 特に日向坂46をCMで起用し、現在は機内アナウンスでもメンバーの声が聞ける宮崎に本社がある「ソラシドエア」は若年層の知名度を一気に高めた。羽田便は4日間にわたって満席となるなどフェス開催における経済効果は大きかった。

 さらに今回、JR日豊本線の日向市駅を期間限定(10月末まで)で「日向坂46駅」にして、メンバーが宮崎を訪れた際の写真やサインなどの展示が行われている。私も宮崎空港到着後に特急列車に乗って訪れたが、ファンの姿も多く見られ、駅に活気があふれていた。9月4日にはメンバーの佐々木久美さんと上村ひなのさんが一日駅長に任命された際には、朝から多くの「おひさま」が日向市駅(日向坂46駅)に集まった。宮崎市内だけでなく聖地巡礼でさまざまな場所を訪れる流れが今回できた。

 フェスは「ひなたサンマリンスタジアム宮崎」で開催されたが、コンサート終演後に宮崎市内方面へ向け臨時バスや最寄りのJR木花駅からの臨時列車も運転された。1時間以上の待ち時間にもなったが、バス会社やJR九州の社員が総出で対応している姿にファンから賞賛の声が多かった。宮崎へは私も年に4~5回訪れているが、これほど活気のある宮崎は見たことがなく、地域創生としてアイドルグループの聖地化による観光の経済効果は大きいことを実感した。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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