【データ】デジタル化による旅行スタイルの変化 JTB総合研究所調べ


旅行中に情報を検索

スマホで予約、ネットで購買

 デジタル化は旅行や観光の分野と親和性が高いと言われている。流行語となった「インスタ映え」も、旅行や外出で目的や旅行スタイルに変化をもたらしている。そこでJTB総合研究所は、「デジタル化による旅行スタイルの変化」についての調査結果をまとめ、このほど発表した。

 3年くらい前と比較して、何がどのように変化したと思うのかを聞いた=図1。「情報収集」については、「旅行中(タビナカ)の情報検索(40.5%)」「デジタルガイドブックを持っていく(10.8%)」が増加した。「紙のガイドブックを持っていく」は「変わらない(46.7%)」と答えた人が半数いたものの、「減少した」と答えた人の割合は高くなった(22.8%)。

 「予約や購入」については、「スマホで予約する(33.2%)」「インターネットで旅行商品を買う(28.9%)」、テレビを観ながら、電車に乗りながら「ながら予約する(13.9%)」が増える一方、「電話で旅行商品を買う」「旅行会社の店舗で旅行商品を買う」は減少傾向となった。

 「旅行形態」については、「宿泊施設や交通手段を別々に自分で購入していく旅行(24.0%)」「現地での自由行動が多いツアー(11.5%)」「宿泊施設は予約せず交通手段だけを購入していく旅行(9.6%)」「同行者と現地集合、現地解散をする旅行(7.7%)」など、個人で自由に動く旅行が増えた。また、「数日以内など間際に思い立っていく旅行(15.6%)」が増加し、「1年以上前など事前に計画をしていく旅行(7.9%)」は減少傾向となる結果となった。

 ここ数年で急速に増えつつある旅先でのシェアリングサービスの利用について、具体的にどのようなサービスを利用しているのか、また今後はどのようなサービスを利用したいと考えているのかを聞いた=図2、3。利用率、利用意向共に最も高かったのは、「荷物預かり場所のシェア」だった。2位と3位には、「ガイドサービス」「タクシー配車サービス」が続いた。「家庭料理体験サービス」に関しては、現在の利用率は1.9%とあまり高くなかったが、今後の利用意向は9.2%で4位となった。

 性年齢別に今後の利用意向をみると、女性は「荷物預かり場所のシェア」や「家庭料理体験サービス」などが高くなった。「訪日旅行者と日本人の旅行者を紹介するサービス」「似た興味を持つ旅行者同士を紹介するサービス」「ライドシェア」など、マッチングサービスについては、女性の方が防衛意識が高いことと関係してか、男性の利用意向の方が女性よりも高い傾向となった。

 旅行先の決定後、旅行商品の購入を検討するにあたり、最初に探し始める方法は、国内旅行、海外旅行共に最も割合が高かったのが、「検索エンジンでの検索(国内旅行25.5%、海外旅行15.7%)」で、「お気に入りのオンライン専門宿泊予約サイト(国内旅行24.4%、海外旅行11.5%)」が僅差で続いた=図4。旅行会社に関わることとしては、「旅行会社のパンフレット(国内旅行7.1%、海外旅行7.8%)」「旅行会社のサイト(国内旅行6.5%、海外旅行10.5%)」「旅行会社の店舗(国内旅行2.1%、海外旅行6.9%)」となった。特に国内旅行では、旅行会社で必ずしも最初に探し始めるというわけではないようだ。

 インターネットで最初に旅行を探し始める場合、どのように目当てのページにアクセスしているのだろうか。サイトへのアクセス手段を聞いた結果では、「スタートページ(パソコンの立ち上げ時にホームに設定しているページ)のリンク」と回答した割合が国内旅行(38.2%)、海外旅行(39.2%)と最も高くなり、スタートページからの動線は重要と言えそうだ。

 次に(二番目以降に)探す方法で最も高くなったのは、国内旅行では「ホテルや旅館のホームページ(25.0%)」で、「お気に入りの旅行会社で検索する(19.5%)」を上回った。既存の調査から、「泊まりたいホテルや旅館がある」ことが旅行のモチベーションになる傾向がみられ、直接、意中の宿泊施設を調べる場合も多いと考えられる。海外旅行では「お気に入りの旅行会社で検索(19.3%)」が1位、2位には「お気に入りのオンライン専門宿泊予約サイト」「旅行会社のパンフレット」がそれぞれ17.5%となった。

 また、旅行比較サイトで「パッケージツアーを探す」「航空券を探す」「宿泊施設を探す」の三つを合算してみると、「次に探す方法」としては、国内旅行(30.3%)、海外旅行(28.5%)となり、大きな割合を占めていることが分かる。

 実際に商品を購入する場所(国内旅行、海外旅行問わず)については、「オンライン専門宿泊予約サイト(41.8%)」が最も高く、今後も増える割合も1位だった。旅行比較サイトについては、現在購入している場所としては4位の21.4%だったが、今後増えると思う場所としては「オンライン専門宿泊予約サイト(35.7%)」に次いで2位の33.2%となり、現在購入している割合を超えている。

 今後増えると思う場所の中で最も割合が低かった「旅行会社の店舗(7.2%)」について、店舗で相談しない理由を聞いたところ、「ネットで十分(50.9%)」「わざわざ行くのが面倒くさい(44.4%)」などが上位となり、「店舗が開いている時間に行けない(15.3%)」「行きやすい場所に店がない(10.9%)」など、具体的な機能に関わる理由よりも、感覚的(面倒くさいなど)の理由で行かない割合が高い傾向がみられた=図5。「ネットで十分」と考える人の割合は、比較的男性に多い傾向となった。女性の中では、40~50代で「ネットで十分」と考える割合が高いようだ。

 一方、店舗に出向いたものの、結局インターネットなど他の場所で購入した人の理由としては、「予算と合わなかった(19.0%)」と共に、「他の商品も比較して買いたかった(17.8%)」が高くなり、値段だけではなく、より幅広く検討して旅行を決めたいという意識が垣間見られる=図6。

 一方、インターネットで予約した(しようとした)旅行に関して、店舗を訪れた経験がある人の割合は全体で27.2%、4人に1人以上あることが分かった。性年齢別にみると、29歳以下、30代の男女と60歳以上の女性で高くなった。店舗を訪れる理由としては、「インターネット予約した旅行の内容について聞きたいことがあった(12.6%)」「インターネット予約しようと思ったが、複雑で予約できなかった(7.1%)」「インターネット予約をした旅行にオプショナルツアーや保険を追加したかった(5.6%)」「インターネット予約をしようと思ったが、希望の支払い方法が選べなかった(4.6%)」などだった。

 首都圏、名古屋圏、大阪圏に居住し、過去1年以内に宿泊を伴う観光旅行へ行ったことがある18~79歳の男女を対象に5月22~27日、インターネットで調査した。


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