東京駅八重洲口のJRバスターミナルには、成田空港行きのバスが、ひっきりなしに出発していきます。「エアポートバス東京・成田」という路線で、JRバス関東や京成バスなどの共同運行です。
日中は5~10分間隔の頻繁運行。8月1日からさらに増便され、1日100往復以上の体制となりました。バス減便が社会問題となっているこのご時世に、驚くほどの頻繁運行です。
増便と同時に運賃も値上げされ、片道1500円に。それまでは1300円でしたので、約15%の値上げとなりました。
振り返れば、この路線は、かつては片道千円前後の「格安バス」として誕生し、人気を博してきました。比べると、現在は50%も高くなったわけです。
値上げによってどう変わったかと、東京駅に出向いてみました。午前中だったこともあり、相変わらずの混雑で、行列した旅行者が次々と車内に吸い込まれていきます。東京駅発着の利便性もあってか、人気は衰えておらず、200円の値上げの影響は感じられませんでした。
片道1500円といっても、JR特急「成田エクスプレス」や京成「スカイライナー」に比べれば割安で、値ごろ感があります。京成電車の料金不要の特急と比べれば高いですが、高速バスには着席保証がありますし、荷物も預かってもらえます。座席や荷物の心配なく空港に行きたい人には、「エアポートバス」はもっとも魅力的な選択になるのでしょう。
車両は4列シートの、一般的な高速バス仕様です。シートピッチは「リムジンバス」に比べるとやや狭いですが、1時間ほどの乗車時間では十分でしょう。運行車両によってはトイレもあり、車内は快適。利用者の本音をいえば、もう少し空いていたほうがいいのですが、手ごろな価格で事業を継続するには、乗車率が高いことは重要なので、許容範囲でしょう。
「エアポートバス」の難点は、予約ができないこと。東京駅へ行って、順番に乗ることになります。満席で待たなければならないこともあります。ただ、頻繁運行ですし、東京駅発着なので、いざとなったら鉄道に切り換えて空港まで行ける安心感があります。
成田空港は遠いというイメージがありましたが、格安バスの登場以降、身近に感じられるようになってきました。その意味でも、この路線が果たしてきた役割は大きいといえそうです。
(旅行総合研究所タビリス代表)