観光庁は9日、観光分野の経営を担う人材育成に向け、大学での教育のあり方を考える産学官連携検討会議の作業部会を開いた。全国6大学で社会人らを対象に試みた公開講座の実証結果を検証。検討会議が作成したカリキュラムモデル案に基づく講義に社会人教育のニーズが確認できた半面、観光経営にさらに特化した講義を開くには、外部講師の活用について大学間の連携が欠かせないことなどが課題に挙がった。
公開講座は昨年12月から今年2月にかけ、和歌山大学、山口大学、首都大学東京、立命館アジア太平洋大学、横浜商科大学、早稲田大学で実施された。経営戦略や財務、会計を重視したカリキュラムモデル案に沿って各大学12講義(各90分)を開講。社会人を中心に学生を含めて267人が受講した。
カリキュラムモデル案は4年制大学での採用を念頭に作成されているが、科目の一部は社会人教育にも活用が期待される。受講した社会人からは「業務を理論的にみる上で参考になる」などの感想があり、満足度はおおむね高かった。一方で観光経営にさらに特化した内容を求める意見もあった。
地方の大学の担当教授からは「さらに特化した講義を開くには専門分野の講師が欠かせず、単独の大学では難しいこともある。外部講師の活用について大学間の連携や人材のデータベースが必要」などの意見が出た。